SaaS管理ツールとは?IDaaSとの関係性について解説
企業では、さまざまなSaaSの導入が進み、SaaS自体を管理するツールの重要性が増してきています。SaaSを安全に効率よく利用することは、企業のDX化にとっても欠かせない要素です。
今回の記事では、SaaS管理ツールの役割やできることを解説しています。また、それぞれのメリットや利用できるシーンをご紹介します。
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目次
SaaS管理ツールとは?
SaaSとは何か、また、なぜSaaSの管理が必要なのかを解説します。
SaaSとは
SaaS(Software as a Service)とは、インターネットを経由して利用できるソフトウェアを提供するサービスです。従来は、ソフトウェアをパッケージ製品として購入し、端末にインストールして利用していましたが、SaaSではインターネットを通じてサーバー側にある必要な機能を利用できます。
主な特徴として挙げられるのが、初期投資を抑えられること、アップデートや保守が提供元によって自動的に行われることなどです。また、デバイスを問わずアクセスが可能なことが多く、リモートワークでの利用もしやすいことが挙げられるでしょう。
SaaSの管理が必要な理由
SaaSサービスの増加に伴い、企業単位ではなく部門やプロジェクト単位でクラウドサービスを導入することも多くみられるようになりました。そのため、企業内で利用しているSaaSを把握し、契約状況やプラン、費用などについて管理するにもとても手間がかかります。
情報システム部門をはじめとしたバックオフィスの部門でSaaSの把握や管理をすることがよく見られますが、利用サービスが増加するに従い、管理が煩雑になります。
また、IDの管理についても対策が必要です。管理を利用部門に任せきりにしている場合、退職者のアカウント削除漏れや、不適切な権限付与による情報漏洩のリスクも高まります。
これらの理由により、SaaSを管理するツールの必要性が高まっています。
SaaS管理ツールの種類や具体的にできること
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SaaS管理ツールは、企業で利用するさまざまなSaaSサービスを一元的に管理し、効率的な運用を実現しますが、管理する用途・目的によって利用できるツールが異なるため注意が必要です。
1.利用状況、ライセンスやコストの管理を目的とする場合
アカウント数やライセンスコストの可視化、利用状況の分析、シャドーITの特定などの機能を備えたサービスの利用がおすすめです。契約更新時期の管理や、重複投資の防止にも役立つでしょう。
利用状況のモニタリングにより、効果的なSaaS活用の戦略立案も可能となるでしょう。
2.アカウントの管理とセキュリティ強化を目的とする場合
SaaSのアカウントの管理や、ログイン時の認証セキュリティの強化、ユーザーの利便性を高めるためのシングルサインオンの機能を備えたサービスがおすすめです。
IDaaSは、こちらの種類に含まれます。
1.のSaaS管理ツールはライセンス管理や利用状況の可視化、コスト最適化が可能なのに対し、2.のIDaaSはID管理やセキュリティ統制に重点を置いています。
IDaaSのメリットや具体的にできること
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IDaaSは、クラウドベースのID管理・認証基盤サービスです。企業で使用されるさまざまなシステムやアプリケーションへのアクセスを一元的に管理し、セキュリティを強化します。
利用するSaaSをIDaaSに連携し、一元管理することで、それまで個別に行っていたSaaSに関するアカウントの発行や削除、更新などの処理を一度に行うことができます。
また、利用者にとってはシングルサインオンを利用することで、ログイン操作が一度で済み、さらにそのログインの認証を強化することでセキュリティリスクも低減できることが特徴です。
承認されていない従業員による不正なシステム利用を防止し、アクセスログの監視や分析も可能です。
SaaS管理ツールとIDaaSの利用シーン
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SaaS管理ツールとIDaaSがどのようなことに利用できるのか紹介します。代表的な例として次の2つが挙げられるでしょう。
- DX推進
- ゼロトラストの実現
それぞれの詳細を解説します。
DX推進
DXを推進するには、SaaSの導入が欠かせません。複数のSaaSを効果的に活用するためには、SaaS管理ツールの導入が重要なポイントです。
特にSaaSの利用状況の把握による利用プランの最適化など経営効率の面で重要性を増しています。
一方、IDaaSは組織全体のID管理と認証基盤として機能し、さまざまなシステムへのアカウントの一元管理が可能です。組織改編や業務プロセスの変更に柔軟に対応でき、適切なID管理機能によってDX推進を支援します。
ゼロトラストの実現
ゼロトラストセキュリティの実現で、IDaaSは中核的な役割を果たします。ゼロトラストでは、すべてのアクセスを信頼しないという前提のもとに、発生する通信を検証しなければなりません。
IDaaSを活用することで、ユーザーの認証とアクセス制御を一元的に管理できます。特にリモートワークが一般化する中、社外からのアクセスに対しても、多要素認証や条件付きアクセス制御を適用した上で、セキュリティの確保が必要です。
アクセスログの継続的な監視と分析により、セキュリティインシデントの早期発見・対応も可能になるでしょう。
まとめ
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今回の記事では、SaaS管理ツールとIDaaSの役割を解説しました。SaaS管理ツールは、企業で利用するさまざまなSaaSを一元的に管理し、効率的な運用を実現します。
一方で、IDaaSは、クラウドベースのID管理・認証基盤サービスです。企業で使用されるさまざまなシステムやアプリケーションへのアクセスを一元的に管理し、セキュリティを強化します。
SaaS管理ツールとIDaaSの利用シーンも紹介しているため、どのようなツールを導入すべきか悩んでいる方は参考にしてみてください。