IDライフサイクルの重要性と業務負荷の軽減方法を解説!
昨今、IDライフサイクル管理がなぜ重要なのか気になっている方は多いのではないでしょうか。IDライフサイクルによりIDを適切に管理することで、セキュリティの向上や業務負担の改善につながります。
そこで今回の記事では、IDライフサイクル管理(Identity Lifecycle Management)の重要性を解説します。
その他、IDライフサイクルによる管理を怠るとどのようなリスクがあるのか、適切な管理を行うことで、どのような問題が解決されるのかについても解説します。IDライフサイクルの管理について詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
目次
IDライフサイクルとは
従業員の管理を適切に行うためにはIDの付与が欠かせません。従業員はそれぞれに割り振られたIDを持ち、IDはさまざまな要素と紐付けられます。
例えば、出勤・退勤の勤怠管理や社内、社外システムへのログイン履歴、オフィスへの入退室などさまざまなことに利用可能です。
IDライフサイクルは、入社から退職に至る過程で適切に管理される必要があり、一般的には次の4つのステータスで構成されます。
- 登録
- 変更
- 休止
- 有効化
- 抹消
それぞれの内容を以下にて解説します。
登録
新卒・中途入社問わず入社時に個々のIDを発行し、部署や役職などの要素を登録する工程です。
登録された内容に基づいて、システム利用や社内の情報資産へのアクセス権限を設定します。
変更
ID情報の変更は、部署異動や昇格などで役職が変わった際に行います。業務内容や役割によるアクセス情報の変更に伴い、アクセス権限も再設定されなければいけません。
アクセス権を適切に設定することで、セキュリティを確保します。
休止・有効化
IDの休止は、従業員が休職などで長期的に不在となる場合に必要な措置です。休止されたアカウントは、復職した際には有効化を行います。
抹消
抹消は退職時に行います。IDの抹消処理は不正利用を防ぐために非常に重要です。
未使用となったIDの抹消により、システムへの不適切なアクセスが防止され、社内で保持する機密情報などの情報漏えいを防ぎ、安全性向上にもつながります。
IDライフサイクルの管理とは
IDライフサイクルの管理は、従業員や関係者のIDが登録される時点から、そのIDが抹消されるまでの一連のプロセスを指します。
IDライフサイクルの管理には、変更や休止・有効化なども含まれ、定期的な確認と漏れのない仕組み作りが必要です。
また、付与されている権限についても、定期的に見直さなければなりません。
組織の体制変更や従業員の役割変更によって、ID管理の必要性やアクセス権限が変わる場合もあるでしょう。所属する部署によって権限を変更したり、職位の変更によってアクセスできる情報も変わることが一般的なため、迅速かつ間違いのない対応が必要になります。
IDライフサイクルのイベントがある度にIDのステータスを変更することと、現状の権限が正しい状態にあるか定期的に見直すことは、不正利用を防ぐためだけでなく、セキュリティとコンプライアンスの観点からも重要です。
従業員のID管理だけでなく、外部からのアクセスも管理する必要があります。例えば、派遣社員やパートタイム従業員、外部コンサルタントなど、外部関係者にもアクセス権限が必要な場合もあるでしょう。
IDライフサイクルを怠ることで起こるリスク
IDライフサイクルを怠ることは、組織に深刻なリスクをもたらす可能性があります。例えば、退職者のIDが適切に抹消されない場合、残ったアカウントが不正にアクセスされるリスクがあります。元従業員が未だアクセス権を持っている場合、機密情報やシステムに不正侵入する可能性も考えられます。
さらに、アクセス権限が適切に設定されないことで、必要な情報にアクセスできず業務が滞ることや、アクセスしてはいけない情報に不正にアクセスされる可能性も懸念の1つです。
近年のクラウドサービスの普及により、IDとパスワードが流出した場合、組織のデータが社外からもアクセス可能になるため、機密情報の流出リスクがこれまで以上に高まります。
IDライフサイクルの管理方法とは
IDライフサイクルを管理するためには、組織内でIDライフサイクルを管理するための明確な規定を定めることが重要なポイントです。規定では、IDの発行、更新、休止、抹消などの手続きを包括的に記述します。
規定内で、ID管理の方針や具体的な行動指針をポリシーとして策定し、ポリシーに従った管理を行うことが重要です。ポリシーは、適切なアクセス権限の設定やセキュリティ対策などIDライフサイクルの基礎となる内容になります。
定期的な監査を行い、問題発生の際にはまずはポリシーを見直し、必要に応じて見直しと更新しましょう。また、複数のシステムを利用している場合、できるだけIDを一元化することが望ましいです。IDの一元化により、アカウント管理の自動化できる部分が多くなり、人的ミスの低減とセキュリティリスクの軽減が可能です。
IDの申請方法も定型化し、IDライフサイクル管理を全体的に一元化することもポイントとなります。複雑化をなるべく防ぐことで、更新の漏れやミスを防げるでしょう。また、従業員がパスワードを忘れた場合の措置に関しても、あらかじめ検討し設定しておくことが重要です。
ID管理システムを導入することで解決できる課題
ID管理システムを導入することで解決される課題として次の3つの内容が挙げられます。
- 情報資産の閲覧範囲を限定できる
- 人事異動による各種権限設定を自動的に反映できる
- 不正アクセスの防止
それぞれの内容を解説します。
報資産の閲覧範囲を限定
ID管理によって閲覧権限を限定的にすることは、組織のセキュリティ強化につながります。社内システムへのアクセス制限をIDに紐付けることで、機密情報へのアクセスを限定的にすることが可能です。
外部からのアクセスだけでなく、社内からのネットワークアクセスも時間帯や場所、端末などを限定することで、より一層のセキュリティ強化が可能となります。ID管理システムにより、組織は重要な情報資産を保護し、内部や外部の脅威に対してより強固なセキュリティを築けるでしょう。
人事異動による各種権限設定を自動的に反映できる
従業員の異動に伴う権限変更を手動で行うと、ヒューマンエラーにより権限が適切に更新されないことも考えられます。人員の増加や利用システムが増えることによりID管理業務が煩雑になるような場合には、ID管理システムを導入することも選択肢の一つとなります。
ID管理システムでは、権限グループに個々のIDを紐付けることも可能なため、人事異動があれば自動的に関連する権限を更新することも可能です。
権限変更の自動化により、権限のない従業員が機密情報にアクセスするようなリスクを軽減し、セキュリティの向上につなげられるでしょう。
不正アクセスの防止
不正アクセスの防止にも役立ちます。適切なID管理が行われていれば、不適切なIDからの機密情報へのアクセスを防げます。さらに、アクセス履歴を残すことで、不正なアクセスを試みているIDを特定し監視も可能です。
ID管理により、不正アクセスを未然に防ぎ、システム全体のセキュリティ強化につながります。情報資産の保護、機密性の確保に対する業務負担の改善がID管理システムの活用によって実現可能となります。
まとめ
今回の記事では、IDライフサイクル管理の重要性を解説しました。
ID管理の方針や具体的な行動指針をポリシーとして策定し、ポリシーに従った管理を行うことが重要になりますが、アカウント管理システムを導入することにより自動化できる作業もあるのでID管理の負担を感じている場合には利用することをおおすすめします。
ぜひお気軽にご相談ください
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