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クライアント証明書の役割は?セキュリティを強化できる理由を解説

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  • セキュリティ
  • 認証

リモートワークが普及する中で、セキュリティ対策を不安に感じている方は多いのではないでしょうか。クライアント証明書を活用することで、自宅で使用している端末からも安全に社内システムにアクセスが可能です。

今回の記事では、クライアント証明書の役割とセキュリティが強化できる理由を解説しています。また、実際に活用できるシーンも紹介しているため、セキュリティに不安を感じている方は参考にしてみてください。

クライアント証明書の役割は?セキュリティを強化できる理由を解説
 目次

クライアント証明書とは?

クライアント証明書は、ユーザーの端末にインストールして使用する電子証明書で、オンラインサービスに接続する際にユーザーの身元を確実に証明する役割を果たします。認証局によって発行され、個人や組織の正当性を電子的に保証する証明書です。

クライアント証明書により、パスワード認証だけでなく、より強固な二要素認証が実現でき、不正アクセスのリスクを低減できます。主に企業の社内システムやセキュリティが重要な金融サービスなどで広く採用されている仕組みです。

クライアント証明書に関して、次の内容を解説します。

  • クライアント証明書が必要とされる背景
  • クライアント証明書の仕組み
  • サーバー証明書との違い


それぞれ詳しくみていきましょう。

クライアント証明書が必要とされる背景

DX化の加速とコロナ禍を契機としたリモートワークの普及により、企業システムへの社外からのアクセスが急増しています。不正アクセスやなりすましのリスクがさらに高まっており、従来のIDとパスワードによる認証だけでは、十分なセキュリティが確保できない状況へと変化してきました。

特に、機密情報や個人情報を扱うシステムでは、アクセスしているユーザーが本当に正当な権限を持つ人物かどうかを、より確実に証明しなければなりません。

より強固な認証が必要とされている背景から、クライアント証明書による認証が重要視されています。

クライアント証明書の仕組み

まず、クライアント証明書をデバイスにインストールします。認証するサーバーは、証明書を許可する設定をしておきます。

ユーザーが保護されたシステムやネットワークにアクセスを試みる際に、クライアント証明書の提示が必要です。サーバー側では、受け取ったクライアント証明書の正当性を複数の観点から検証します。

具体的には、証明書が正規の認証局によって発行されているか、有効期限が切れていないか、失効リストに載っていないかなどの確認が必要です。検証に問題がなければ、正当なユーザーとしてアクセスが許可され、システムが利用できます。

サーバー証明書との違い

クライアント証明書は、個々のユーザーに対して発行される証明書で、システムにアクセスする際にユーザーの身元を証明するために使用されます。アクセスしているユーザーが正当な権限を持っていることを認証するためのものです。

一方、サーバー証明書は、Webサーバーやメールサーバーなどのホストに対して発行されます。コンピューター名やドメイン名などの情報が含まれており、そのサーバーの所有者が正当であることを証明するものです。例えば、オンラインショッピングサイトにアクセスする際、そのサイトが本物で信頼できることを保証する役割を果たします。

クライアント証明書導入のメリット、デメリット

クライアント証明書導入のメリット、デメリットを次の内容でそれぞれ解説します。

  • メリット 1:情報漏洩の防止
  • メリット 2:安全なリモートアクセス
  • デメリット 1:証明書の管理と更新
  • デメリット 2:アクセスできるのは証明書がインストールされている端末のみ


それぞれのポイントをみていきましょう。

メリット1:情報漏洩の防止

クライアント証明書の導入は、情報漏洩リスクに対する強力な防御策となるでしょう。仮にIDとパスワードが第三者に漏洩してしまった場合でも、クライアント証明書がインストールされた正規の端末からでなければシステムにアクセスできません。なぜなら、認証に必要な証明書が特定の端末に紐づけられているためです。

不正アクセスを試みる攻撃者は、漏洩したログイン情報を入手しただけではシステムに侵入できず、さらにクライアント証明書がインストールされた物理的な端末も必要です。

メリット2:安全なリモートアクセス

リモートワークの普及に伴い、社外から業務システムへアクセスすることが日常的になってきています。リモートワークの環境下では、社外端末からのアクセスに対するセキュリティの確保が重要な課題です。

クライアント証明書を導入することで、アクセス可能な端末を明確に制限できます。証明書がインストールされた正規の端末のみがサーバーにアクセスできるため、未承認の端末や個人所有のデバイスからの接続を確実に防げることが特徴です。

デメリット1 :証明書の管理と更新

大規模な組織では、多くの端末に対してクライアント証明書をインストールする必要があり、管理が複雑化します。新規端末の追加や、故障による端末の交換、退職者の端末からの証明書削除など、日常的な管理作業が必要です。

また、セキュリティ確保の観点からクライアント証明書には有効期限が設定されており、定期的に更新しなければなりません。更新作業を適切なタイミングで漏れなく実施する必要があり、特に多数の端末を抱える組織では、更新管理の負担が大きくなりがちです。

デメリット2:アクセスできるのは証明書がインストールされている端末のみ

デメリットとして挙げられるのが、証明書がインストールされた特定の端末でしかアクセスできないため、急な出張先でPCを忘れた場合や、端末の故障時などに困る可能性があります。代替機からアクセスができず、業務に支障が出る可能性もあるでしょう。

クライアント証明書を活用するシーン

クライアント証明書を活用するシーンとして、次の3つのケースを紹介します。

  • セキュリティ強化
  • リモートアクセス
  • BCP(事業継続計画)


それぞれの内容を解説します。

セキュリティ強化

クライアント証明書は、セキュリティ強化の有効な手段として広く活用されています。従来のIDとパスワードによる認証に加えて、クライアント証明書を二要素認証の1つとして組み込むことで、認証システムのセキュリティ強度を向上させられます。

また、BYOD環境でも、承認された端末にクライアント証明書をインストールすることで、柔軟な働き方を実現しながら、高いセキュリティレベルの維持が可能です。従業員の利便性を損なうことなく、企業の情報資産を保護できます。

多要素認証(MFA)/ BYOD についての詳細は、こちらの記事を参照ください。

多要素認証(MFA)とは?二段階認証、二要素認証との違いをご紹介

BYODとは? メリットや導入時に重要な ゼロトラストセキュリティを解説

リモートアクセス

リモートワークが一般化する中で、クライアント証明書は安全な在宅勤務環境を実現する重要なツールの1つです。

社外からの業務システムへのアクセスは、セキュリティ上の脅威となる可能性があります。クライアント証明書を導入することで、アクセスできる端末を明確に制限し、不正アクセスのリスクを低減できるでしょう。

在宅勤務者が使用する端末に対して適切にクライアント証明書を配布・管理することで、社外からのアクセスであっても、社内と同等に近いセキュリティレベルを確保できます。

BCP(事業継続計画)

BCPでも、クライアント証明書は重要な役割を果たします。災害や感染症の流行など、従業員が出社できない緊急事態が発生した場合でも、事業を継続する必要があるでしょう。

このような状況に備えて、従業員の自宅端末にあらかじめクライアント証明書をインストールしておくことで、急な在宅勤務の必要性が生じても、すぐに安全なリモートアクセス環境を確保できます。

災害時でも重要な業務システムに安全にアクセスでき、業務の継続性の維持が可能です。

クライアント証明書の利用方法

ここでは、どのようにクライアント証明書認証を利用できるのか、Gluegent Gateを例として具体的な流れについて紹介します。

利用できる証明書について

Gluegent Gate の管理画面から証明書の発行・管理ができる証明書は以下の2つの種類になります。

・Cybertrust DeviceID(サイバートラスト株式会社)
・NRA-PKI(日本RA株式会社)

お客様側で証明書を契約し、証明書の発行 / 失効などにGluegent Gateを介さない場合には、上記に加え、以下の証明書についてもご利用可能です。

・上記以外のPKI クライアント証明書発行機関
・自己証明書(お客様でサーバー運用 / 管理して用意するクライアント証明書)

ここからは、ご利用の多いGluegent Gate の管理画面から証明書の発行・管理をする場合の証明書認証の利用の流れについて記載します。

申請

「端末認証WEB / 証明書付き(NRA-PKI)」または「端末認証 WEB / 証明書付き(Cybertrust DeviceID)」のご契約をしている場合、Gluegent Gateの管理画面で証明書の「申請」ができます。

利用形態:証明書認証 または 証明書確認 を選択します。
(※証明書認証/証明書確認の違い を参照)

証明書を発行する対象のユーザー、発行された証明書をダウンロードする対象の端末を選択し、証明書を申請します。

※参考)証明書認証/証明書確認の違い

「証明書認証」とは、利用するユーザーを特定します。
該当のユーザーがどの端末を利用していたとしても、ユーザー情報に紐づくためログインできるユーザーかどうかを判断します。

「証明書確認」とは、アクセスする端末を制御します。証明書を使うユーザー自体は特定することはできません。
そのため、端末の証明書の期限切れや失効の場合には、その端末を利用するすべてのユーザーで認証に失敗することになります。

証明書のインストール

ユーザー自身に証明書をダウンロード、インストールさせる場合には、ユーザーが利用可能な「Gluegent Gate ポータル」画面に証明書を表示させることができます。

ユーザー自身でポータルからダウンロードし、簡単にインストールすることができます。
※管理者側で証明書をダウンロードし、インストールすることも可能です。

認証ルールの設定

証明書認証 / 証明書確認は Gluegent Gate のアクセス制御ルール(認証ルール、 アクセス権限ルール)の認証方式として指定することで有効となります。

ID・パスワードなど他の認証と組み合わせて利用することが可能になります。

まとめ

今回の記事では、クライアント証明書の役割を解説しました。クライアント証明書は、ユーザーの端末にインストールして使用する電子証明書で、オンラインサービスに接続する際にユーザーの身元を確実に証明する役割を果たします。

機密情報や個人情報を扱うシステムでは、アクセスしているユーザーが本当に正当な権限を持つ人物かどうかを、より確実に証明しなければなりません。より強固な認証が必要とされている背景から、クライアント証明書による認証が重要視されています。

クライアント証明書のメリット・デメリットや、証明書を実際に活用できるシーンも解説しているため、クライアント証明書導入を考えている方は参考にしてみてください。

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