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ワークフローとは?
基礎知識とシステム導入のメリットを徹底解説

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ワークフローとは?
 目次

ワークフローとは?

「ワークフロー」は、「業務(Work)の流れ(Flow)」や、それを図式化したものを示します。
組織やチームで行う業務には必ず起点があり、処理や作業を経て終了→完了というプロセスをたどりますが、その一連の流れを示したものがワークフローということになります。ワークフローと同じ意味で「業務フロー」と呼ぶ組織もあります。

広義のワークフロー

広義に含まれるワークフローとしては、ビジネスプロセスにおける、ある一連の業務を指します。例えば製造業における原材料手配→加工→検査→完成という一連の業務や、検査工程における、検査の申請→検査実施→責任者承認という流れをまとめたものが挙げられます。

狭義のワークフロー

国内のビジネスシーンにおいては、ワークフローは広義の意味で使われるよりも狭義の意味で使われることが多いでしょう。狭義のワークフローとは、定められた権限規程に沿い、稟議や申請(休暇申請や購入申請など)の業務を、書類をベースにして申請・承認・決裁まで行う意思決定プロセスを指します。

規定やプロセスが決まっている業務は、「ワークフロー」として組織の中で手順化することで、組織として統制をとることができるだけでなく、無駄な手順を省いて効率化したり、ミスやトラブルを防ぐなどの効果があります。

ワークフロー作成の目的

組織において、業務の手順が決まっていない場合、人によって判断基準が異なったり必要なステップを飛ばしたり、逆に不要なことをしたりと統制が取れなくなり、ミスやトラブルを起こすことにもつながってしまいます。これを防ぐためにルールや規定に基づいて業務を行うことが不可欠です。しかし、文書で規定していても守られなければ意味がありません。
ワークフロー作成の目的は、ルールや規定を無理なく自然と守りつつ、手順に従って業務を遂行できるようにすること。また業務効率向上や抑止力を効かせるために、業務を可視化することでしょう。しかし業務を可視化しただけでは大きな意味はありません。業務を可視化することにより、決められたルールや手順に基づいて業務を遂行することができれば、抜け・漏れを防止することができます。またワークフローがあれば、慣れない担当者でも迷わず一定の質を保って業務を行うことができます。
さらに、ワークフローを通じて現在の業務を整理し、課題を発見して改善することで効率化や内部統制の強化につなげることも可能です。

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ワークフローの活用例

ワークフロー化しやすい業務である備品購入について、具体的な例をあげて考えてみましょう。
備品購入したい場合、「備品購入申請書」をベースにして業務が行われることが多いと思います。作業を行う人と、業務の内容は以下の通りです。

【備品購入申請の業務フロー】

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この申請フローをさらに細かく見ていくと、申請者が申請書に入力→印刷→押印→次の相手に手渡しや郵送するなどの作業が発生します。

【申請の作業フロー】

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このように1つ1つの作業も細かく把握して整理することで、手順を省略できないか、別の手段で対応できないか、などに気づき改善策を検討することができます。 例えば、手渡しや郵送による申請書のやりとりをメールやFAX送信にしたり、一部のハンコを省略したりという業務は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、多くの組織がすでに検討し実施しているのではないかと思います。

ワークフロー運用の問題点

ワークフローを紙で運用している場合、FAX送信は、手渡しや郵送と比べれば手間や費用の面でメリットが大きいでしょう。しかしながらFAXの場合は、視認性が悪かったり、途中で紛失したり、届かないなどのリスクもあります。紙から一歩進んでメール送信する場合は、視認性は改善されるものの、見落としの問題は依然として残ります。また、紙の申請書と同じように、現在どのステップまで進んでいるかも把握しにくいですね。

ハンコについては、これまでのハンコ文化で省略に抵抗のある方も多いことから、テレワークに移行した企業であっても、なかなか省略できずハンコのために出社する「ハンコ出社」経験者が多いことが話題にもなりました。
さらには、たまにしか発生しない業務の場合、そもそもどこに提出すればよいか迷う人が多発するという課題もよく耳にしますし、過去の業務を参考にしたい場合も紙だと探すのに手間取るために、ノウハウやナレッジとしても活用しにくい側面もあります。

ワークフローの問題解決に期待できる方法

以上のように、業務を可視化し効率化するために、自社でルールを定めてワークフロー化しても、紙やメールの運用のままでは効果が不十分です。
そこで、これらの課題を解決するために有効なのがワークフローシステムです。ワークフローシステムを活用することで、運用のデメリットを補うことが可能です。

ワークフローシステムとは

ワークフローシステムとは、ワークフローが滞りなく流れるように作られたシステムです。申請書に模した申請フォームと、申請や承認者の経路をあらかじめ作成しておき、業務ごとに決まった項目と申請経路で業務を流すことができます。申請情報はデータや電子ファイルで保管できるため、適切なデータ管理ができれば紛失のリスクもありませんし、検索もしやすいためにノウハウやナレッジとしても活用できます。

ワークフローシステムを活用することの5つのメリット

ワークフローシステムの活用は、業務の流れをスムーズにすることや書類の紛失を防止する以外にもさまざまなメリットがあります。ワークフローシステムを活用することのメリットをご紹介します。

  1. 業務プロセスの見える化
    ワークフローシステムは、申請・承認・決裁者などその業務に関わる組織や人物が可視化されています。組織の事情に詳しくない方でも、業務や情報の流れを見ることができます。誰に承認をもらえば良いのか、どこに回せばよいのか迷うことがありません。
    また、申請が進めば、今誰の手にあるかを確認することが可能です。紙と異なりパソコンやスマホから確認できるため、書類のありかを探す必要がありません。また自分以外の関係者にも進捗が見えることによって、承認や決裁の業務の停滞を防ぐ効果があります。
  2. 承認・決裁の迅速化
    ワークフローシステムは自分のパソコンから申請や承認が可能です。承認された後は自動で次の方に回送されるため、次の相手に渡したり送ったりする手間がいりません。またハンコを押す作業も必要ないため、テレワークや外出時でもオフィスに戻ることなく承認や決裁を実行できます。ワークフローシステムによっては、期限が過ぎたらアラートを出すことやメールやチャットに自動で催促通知を送る機能もあります。
  3. 内部統制の強化
    ワークフローシステムでは正しい承認ルートや申請フォームを勝手に変更することができないため、不正の抑止につながります。改ざん防止もできることからコンプライアンス強化にもつながります。証跡や決裁情報が可視化されるため、監査の対応にも有効です。
    また、ワークフローシステムは情報伝達ツールとしても使えるため、内部統制の構成要素の1つである「情報と伝達」に活用することもできます。従業員が確実に知っておくべき情報をワークフローシステムを通じて提供することで、確実に伝えることができます。
  4. ナレッジの共有による業務レベル向上
    紙の書類だと口頭で終わってしまうこともある合議の内容や、差し戻すほどの内容ではないが明らかにしておくべき承認者や確認者の指摘事項を、コメントという形で記録に残すことが可能です。紙の書類の場合は意識して文書化や共有化するなどしない限り記録に残りませんが、ワークフローはコメントをそのまま残すことができます。
    これらを部門内や社内で共有できれば、次に似た内容を申請する際の参考となり、作成業務の省力化になると同時に、初めから質の高い稟議、申請を作成することも可能です。
  5. ペーパーレス化
    ワークフローシステムは、電子データや電子ファイルでやりとりされます。従って、紙の稟議のように出力する必要がなく、保管場所に頭を悩ませることもありません。紙の使用量も削減できてコスト削減にもなります。紙だと紛失や破損のリスクがありますが、その心配もありません。
    紙が使用できない職場や環境でも、スマートフォンで申請できるワークフローシステムもあるため、これまでメールやチャットでやりとりし不便を感じていた組織でも活用することができます。
    また申請は簡単に後から検索でき、過去の案件の活用もしやすくなります。

ワークフローシステムを活用することのデメリット

ワークフローシステムの活用はメリットが多くありますが、デメリットも存在します。システムゆえにある程度の制約やルールがあり、現在の業務をそのまま載せようとするとカスタマイズが必要になったり、そもそも業務に対応できない、ということも生じる可能性があります。そのため、現在の業務を見直してシステムに合わせる必要も出てきます。
また、新たにシステムを導入する場合全般に言えることですが、従業員にとっては現在の業務が変化することの心理的な抵抗や、慣れないことによる一時的な業務効率の悪化も想定されます。

これらのデメリットを少しでも減らし、メリットを最大限に活かすには、自分たちの組織にあったワークフローシステムを適切に選択する必要があります。

ワークフローシステム選定のチェックポイント

ワークフロー化できる業務は多くありますが、すべての業務がワークフローやワークフローシステムを活用して実行できるわけではありません。何の目的を達成したいのかを全員で共有し、課題をきちんと整理することが大切です。その上で、対象とする業務を整理し求める機能を把握したら、候補となるシステムをいくつかに絞って検討しましょう。
ここではワークフローシステム(サービス)を選定する際のチェックポイントをご紹介します。

機能の観点

  • 機能についての情報は正確か?

    比較サイトにはワークフローシステムの情報が多く掲載されていますが、古い情報や不正確な情報が残っていることがあります。もちろん参考にはなりますが、正確な情報は各サービスの提供会社から入手しましょう。
  • 希望する要件を満たしているか?

    申請や決裁処理の方法や、経路のステップ・申請フォームの制限や見た目など各システムによって千差万別です。また、「検索やファイル添付が可能」といっても条件や制限があるため、検討の際には提供会社に希望を具体的に伝えることが必要です。また、機能によっては、A社は無料だがB社はオプション費用がかかるということもあるので、細かくヒアリングしましょう。
  • ストレスなく操作できるか?

    一番間違いないのは、実際の操作画面を見たり、触ってみることです。管理者観点やユーザー観点から色々試してみましょう。

他システムとの連携

  • 自社が利用しているシステムとの親和性は?

    多くの組織にとって、ワークフローシステム導入の目的のひとつは効率化です。Microsoft 365やGoogle Workspaceとの連携や、チャットツールなどと連携できれば、業務は各段に効率化する可能性があります。運用中のシステムとどんな連携ができるかチェックしてみましょう。
  • 社員全員が使いやすい環境か?

    パソコンやスマートフォンなど複数のデバイスで利用できるかも選定ポイントの一つですね。

アフターサポートの観点

  • 初めての導入でも安心か?

    ワークフローシステムを初めて導入する方や、運用するにあたって自分でマニュアルを見て設定するだけでは、不安なことと思います。提供会社がどこまでサポートしてくれるかは各社異なりますので、事前に聞いてみましょう。
  • 自社にとって信頼できるか?

    ユーザー専用サイトやコミュニティを作っている会社、個別対応を得意とする会社など体制もさまざまですので、導入したもののサポートが不十分で費用対効果が得られない、という失敗はないようにしたいですね。

まとめ

ワークフローは、業務プロセスを整理し効率化するためには欠かせないものです。ワークフローの考え方を理解し、ワークフローシステムを有効に活用すれば、業務を可視化し、業務プロセスの省力化・効率化を推進することが可能です。自社の課題を解決するワークフローシステムは必ず見つかりますので、十分に比較された上で選定することをお勧めします。

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