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業務の属人化がはらむリスクと、
属人化解消のためのワークフロー活用

  • 仕組み化
  • 標準化
  • 電子化
業務の属人化がはらむリスクと、
 目次

属人化が起こりやすい業務と、属人化を避けるべき理由

業務の進め方を特定の人しか知らない、その人がいないと業務の進捗状況がわからないなど、業務が人に依存している状態を「業務が属人化している」と言います。一例を挙げるので、自社内に同じような状況がないか確認してみましょう。

顧客対応に見られる属人化

営業担当者やカスタマーサポートなど、顧客と直接対応する業務は特に属人化しやすいものです。チームではなくひとりで顧客に向き合っていると、なんとか工夫してできるだけいい対応をしてあげたくなります。その人の裁量でできる特別なオファーを提示したり、他の顧客よりも時間や手間をかけて対応したり。こうした対応を行うと、担当者が不在の際に「普段と違う対応をされた」と不満を抱かせることになります。また、担当者が変わると「以前とは対応が変わった」と言われかねません。

バックオフィス系業務に見られる属人化

人事や経理、総務は事務処理が多く、ルールにも厳しい部署ですが、それでも属人化は起こります。ある業務をひとりに任せてしまうと、必要な知識やスキルがその人だけに蓄積されることになります。特に決算や予算編成など頻度の低い業務におけるスキルや工夫は引き継ぎから漏れることが多く、担当者の異動と共に業務効率が低下することにつながります。

トラブル対応など常に一定の品質を求められる業務

近年はトラブル自体よりも、トラブル発生時の対応に注目される事案が増えています。また特別な対応をされるとSNSで共有されるなど、消費者同士での情報共有も活発です。こうした環境の中、なんとか顧客に納得してもらおうと特別な対応をするのは危険です。対応した者によるばらつきがあれば「私はこういう対応をしてもらった」「私はそんな対応をしてもらえなかった」と不満を抱かせることにもつながります。

業務が属人化することの問題
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  • Bさんが不在の場合、業務が滞ったり見えなくなってしまう。
  • 他の人がカバーすると、品質のばらつきや効率低下につながる。

独自の手順で作業時間を短縮できたり、個人の裁量で融通を利かせてスムーズに業務を進められたりと、属人化の多くは現場の工夫や善意から生じています。しかし業務の効率化や品質向上を目指すのであれば、属人化のデメリットの方が大きくなります。

今後訪れるであろう労働環境の変化への対応という観点からも、属人化は大きなリスクになり得ます。日本はこれから労働人口の減少という事態に立ち向かわなければなりません。労働力を確保するためには多様な働き方を認めなければならず、そのためには個人ではなくチームで業務に当たることが前提となります。コロナ禍で急ぎ対応したテレワークで、同じような状況に直面した企業も少なくないでしょう。これから求められる働き方は、属人化とは対極にあるのです。誰が担当しても同じ品質、同じ効率で業務に当たれる体制作りが求められます。

属人化を解消するために、業務の標準化が必要

属人化の対極となるのが、業務の標準化です。ルール化した業務の手順を共有し、誰が対応しても同じ品質を保つことができます。このとき重要なことは、従来の業務引継で採用されていた手順をそのまま標準として採用しないことです。改めて標準となる業務ルールを作るのですから、現場の工夫を可能な限り取り入れましょう。誰が対応しても、誰に対応しても、同じ品質となるように個別対応は切り捨て、すべてのケースで取り入れられる工夫だけを採用します。このルールに照らして判断すれば常に同じ高い品質で対応できるというルールをつくり、標準として共有します。

処理手順の標準化だけではなく、それぞれの業務において誰がどのような役割で確認すべきか、という手順も標準化しましょう。どこまでなら現場だけで判断できるのか、どのようなケースで上長の承認をあおぐべきなのか、そのとき承認すべき人は誰なのか。責任を明確化することで現場の負担を軽減でき、業務をスムーズに進められるようになります。上長の承認を求めるべき基準が明確化するので、上長も必要な事案のみ確認すれば良くなります。

こうしたルールを決めて業務を標準化し、それをさらにマニュアルとして共有できれば、担当者が変わっても同じ品質で業務を進めることができるようになり、チームで業務にあたる体制を築くことができます。担当者に左右されない品質を提供できるようになり、信頼を高めることにつながります。

業務の標準化とチームで対応する体制の構築は、社内的にも大きなメリットをもたらします。明確に定められた標準があれば内部統制の観点でも有利であり、標準を定める過程で業務も最適化できるため、業務効率化にもつながります。判断のよりどころとなる標準が定められることで担当者個人の負担が減り、ミス防止にも役立ちます。

属人化された業務 標準化された業務
業務の品質 担当者によりばらつきがある 誰が対応しても同じ品質
効率性 担当者が判断する部分があり効率が悪い 手順がすべて決まっており効率が良い
責任の所在 独自の判断で対応する人がいた場合、担当者の責任なのか上司の責任なのか曖昧 誰がどの役割を担うのか役職で決められているので責任の所在も明白
引き継ぎ マニュアルに書かれていない工夫があり引き継ぎに時間がかかる 手順がマニュアルにまとまっているので短時間で引き継ぎ可能

業務の標準化、ルールの明確化にワークフローシステムが役立つ

プロセスを可視化し、それを適用して業務を標準化しても、個人の裁量による自由度が残っていては属人化の道に戻ってしまう恐れがあります。それを避けるために、ツールを使って業務の標準化を浸透させる手法があります。標準化された手法を反映したツールを使うことで、全員に同じルールで業務を進めてもらうことが可能になります。利用するツールとしては、ワークフローシステムがいいでしょう。

ワークフローシステムについてもっと知りたい方は、以下のページもご覧ください。

属人化の解消にワークフローシステムを活用することの利点と注意点

利点

ワークフローシステムは、決まった書類を決まった経路で承認・決裁を得ることができるシステムです。そのため、入力フォーマットとして手順を明示でき、誰が何を入力し誰が承認したかも可視化できるので、業務手順がブラックボックス化することも避けられます。

実施すべき手続きの漏れをなくすことにもワークフローは役立ちます。たとえば新しく入社する人がいる場合、職員情報の登録やメールアドレスの発行、必要なシステムへのID申請、PCの手配などやらなければならない手続きがいくつもあります。これらの手順を「入社時手続き」としてまとめて示しておけば、誰が対応しても漏れなく同じ手続きができます。
注意点
ワークフローを使って業務を標準化する際、作業を個人に割り当てることを可能な限り避けるようにすべきです。承認者として個人名を指定するのではなく、所属組織の上長など役職で承認者を指定するようにしましょう。承認者として個人名を登録すると、その人の業務として属人化してしまう恐れがあります。承認者を役職で指定することで、ワークフローの経路を、標準化されたルールとして示すことができます。このような効果を得られるよう、会社組織を理解し、柔軟な承認経路を設定できるワークフローシステムを選ぶといいでしょう。 Microsoft 365 や Google Workspace とID情報を連携できるGluegent Flow(グルージェントフロー)であれば、申請者の情報から組織の上長を経路に自動設定することもでき、なおかつ既存のID基盤を利用できるので、あらためてワークフローシステムだけのために従業員情報を管理する必要もありません。

Gluegent Flowを使って業務を標準化すると、業務の結果を蓄積して社内のナレッジとして共有することもできます。 Google Workspace や Microsoft 365 と連携することで、承認された内容をスプレッドシートやExcelに自動で出力することができます。これにより、どのような基準で承認されているか、どのようなときに差し戻しになっているかといった判断の基準を共有できます。個人の感覚に頼るのではなく、共通の判断基準に従って業務にあたることも、標準化においては重要なことです。Gluegent Flowをうまく活用して業務の属人化から抜け出し、誰が担当しても同じ品質で業務ができるよう標準化の道に進んでいきましょう。