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電子帳簿保存法改正で必要な対応とは
ーシステムやツール導入は慎重にー

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2022年1月1日に改正電子帳簿保存法が施行されました。2023年12月までとして宥恕措置の期間が設けられていますが、閣議決定された令和5年度税制改正の大綱により、対応の条件や範囲が緩和されました。

今回の改正では、当初よりも電子帳簿や電子取引の扱いに関する強制力は弱まったように見えますが、「電子保存の対応は必要ない」という訳ではありません。今後の社会情勢で再び制度が変更される可能性があることや、何より自社の業務効率化の観点からも電子保存に対応することは大きな意味があります。

本件に関して、電子帳簿保存法対応のシステムをお探しの企業様からお問い合わせをいただく機会が増えています。
今回は、電子帳簿保存法対応のシステムやツールを導入する前に知っておきたい内容について、解説します。

記載されている内容は現時点における情報であり、最新の情報は国税庁のホームページでご確認ください。また電子帳簿保存法の要件を満たすことを保証するものではありません。あくまでも参考情報としてご確認ください。実際の運用につきましては、担当の税理士や所轄の国税局にご確認ください。
(2023年5月17日時点)

電子帳簿保存法改正で必要な対応とは
 目次

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は1998年に制定され、「電帳法」とも呼ばれます。税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律で、同法に基づく各種制度を利用することで、経理業務のデジタル化を図ることができます。一方で、2022年1月に施行された改正電帳法は、「電子取引」に関するデータ保存の義務化が盛り込まれたことで多くの企業が対応を迫られることとなりました。ただし、令和5年度税制改正の大綱によれば、対応の条件は緩和されています。

e-文書法は2005年にパソコンやインターネットの普及やそれらを活用した業務効率化やコスト削減を背景のひとつとして制定され、何度も改正が行われています。e-文書法と電子帳簿保存法は対象範囲が異なり、e-文書法は、電子帳簿保存法の上位に位置する法律です。

電子帳簿保存法の対象

電子帳簿保存法の対象範囲は、国税関係帳簿・国税関係書類・電子取引に限定されています。2022年1月の改正では、電子取引(赤枠で囲った範囲)の対応が大きく変わることとなりました。

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電子帳簿保存方法の区分

電子帳簿の保存方法は、以下の3つの区分に分けられています。

  1. 電子帳簿保存(電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存)
  2. スキャナ保存(紙で受領・作成した書類を画像データで保存)
  3. 電子取引データ保存(電子的に授受した取引情報をデータで保存)

次のセクションで、データの保存についてもう少し詳しく説明します。

電子取引データの保存要件

電子取引のデータは、取引情報を電子データで、かつ電子帳簿保存法の要件に従って保存する必要があります。
単にPDFファイルをサーバーなどに保存するだけでは、民法や電子署名法上で有効と取り扱えても、電子帳簿保存法の要件を満たさず、税務上のリスクが存在するのです。保存要件は以下のとおりです。

電子取引の保存要件

真実性の要件
  • タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
  • 取引情報の授受後、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付すとともに、保存を行う者又は監督者に関する情報を確認できるようにしておく
  • 記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受及び保存を行う
  • 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う
可視性の要件
  • 保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
  • 電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
  • 検索機能を確保すること
なお、検索機能とは以下を指します。
電子帳簿の検索要件
  • 取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目により検索できること
    改正後、記録項目は取引年月日、取引金額、取引先に限定
  • 日付又は金額の範囲指定により検索できること
  • 二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
ただし、保存義務者がダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には②③が不要であり、保存義務者の基準期間における売上高が5,000万円以下の事業者については、すべての検索機能の確保の要件が不要となります。

電子帳簿保存法に対応するには

電子帳簿保存法の宥恕措置の期間は2023年12月までですが、2023年10月に導入される「インボイス制度」についても考慮に入れなければなりません。従って、どの企業も2023年9月までに、以下のいずれかの対応をすることが推奨されます。

  • 電子帳簿保存法・インボイス制度の要件を満たす、最低限の対応をする
  • 電子帳簿保存法・インボイス制度対応の要件を満たし、かつ関連する他の業務を効率化する
  • 電子帳簿保存法・インボイス制度の対応は実施しない

インボイス制度についての詳細の案内は、特集インボイス制度(国税庁) をご覧ください。
電子取引はほとんどの企業が何らかの形で実施していますので、①か②の対応が必要となるでしょう。

会計システムや経費精算システムを利用する

上記で挙げた①を満たすためには、電子帳簿保存法に対応した会計システムや経費精算システムの導入をおすすめします。その際、一つ注意いただきたい点があります。

システムの導入の注意点

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これらのシステムやツール、クラウドサービスを探せば、「文書管理」や「タイムスタンプ」、「スキャナ保存」などの機能が挙がってきます。電子帳簿保存法に対応する法的な要件は厳密に定められていますので、キーワードに惑わされることなく、機能や要件を見極めることが大切です。

システムの選定にあたっては、JIIMA認証を受けたソフトウェアやクラウドサービスを選定するのも良いでしょう。JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が市販されているソフトウェアやソフトウェアサービスが電子帳簿保存法(電帳法)の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を満たしていると判断したものを認証する制度です。
ただし、JIIMA認証を受けているからといって安易に飛びつくのは危険です。業務の適用範囲や利用方法をよく理解したうえで、システムやクラウドサービスを導入しましょう。
参考:JIIMA認証制度 公益社団法人日本文書情報マネジメント協会

既存のシステムやサービスを活用する

会計システムや経費精算システムを新たに導入せずに電子帳簿保存法に対応したい場合、既存のシステムやサービスを活用できる場合があります。

たとえば Google Workspace は、JIIMA認証を取得しています。Google Workspace をご利用中の企業なら、マニュアルに沿ってGoogle Workspace を利用すれば、新たに事務処理規定などを作成することなく、電子データの適切な保存が可能となるのです。

電子帳簿保存法対応と業務効率化を両立しましょう

今回は電子帳簿保存法の内容と対応のポイントを中心にお伝えしました。
これまで業務を紙中心に行ってきていた企業が電子帳簿保存法に対応するには、何らかのツール導入は避けられないでしょう。もしくは既存のシステムやサービスで対応しようとすると、業務効率化やコスト削減がないがしろにされる恐れもあります。そうならないために、ツール選びはくれぐれも慎重に行いましょう。

弊社が提供するワークフローシステム Gluegent Flow(グルージェントフロー)は、クラウド上で、購入申請や発注申請など申請・確認・承認業務が行えます。Gluegent Flow単体では電子帳簿保存法に対応しておりませんが、Google Workspace と組み合わせれば、電帳法対応で必要となる「取引年月日、取引金額、取引先」等の追記や該当ファイル格納を自動で行うことができ、業務効率化にも貢献できます。