脱ハンコが進まない理由は?
メリットや導入事例、要となるツールについて解説
2020年9月に発足した菅内閣は「行政のデジタル化」を掲げ、多くの行政手続きで認印が不要となりました。その背景には、働き方改革によるリモートワークの広がりや、環境対策としてのペーパーレス化があり、行政の脱ハンコの動きは、民間の動きを後押ししています。
その一方で、脱ハンコを進めていこうにも、デジタル化への懸念・不安・理解不足などを理由に反対する声に対して反論できず、頭を抱える担当者も少なくないでしょう。本記事では、脱ハンコのメリットをわかりやすく解説し、脱ハンコを実現した組織の事例も合わせて紹介します。脱ハンコへの反対意見に悩まされている方は、ぜひご覧ください。
目次
ハンコ文化が抱える課題とは?
社会構造の変化に伴い、長年、使用されてきたハンコが現代の仕組みに合わなくなってきています。ここでは具体的にハンコ文化が抱える課題についてまとめます。
押印のための出社や、書類の郵送などの手間がかかる
多拠点展開の組織や、リモートワークを導入している組織では、一枚の書類に押印するためにわざわざ現場に赴くか、郵送で送付する手間が発生しています。インターネットやメールが普及しているにもかかわらず、ハンコの使用にこだわっていては、その恩恵を享受できません。
押印のための回覧が手間
押印者が増えた場合、一枚の書類を順番に回覧せざるを得ず、承認まで時間を要してしまいます。また、権限が同じ承認者に対して、同時に押印依頼できれば時間を短縮できますが、書類が一枚しかないため順番に回覧しなければならず手間です。また、書類がどこまで回覧されているか確認する手間もかかってしまいます。
印刷や保管コストが発生する
わざわざ書類を印刷して回覧しなければならないため、ペーパーレスの妨げになります。押印ミスが発生すると、印刷し直し、紙の浪費が発生してしまいます。また、承認後も書類の保管が必要となるため、保管場所の確保にコストを要します。
なりすましが可能
ハンコが盗まれてしまった場合や、上司が部下に対して代わりに押しておくよう指示した場合など、ハンコさえあれば本人でなくても押印できてしまいます。書類の改ざんにも利用できるため、悪意をもった人が関わると大きな問題に発生する場合があります。
脱ハンコのメリット
ここまで、ハンコ文化が抱える課題についてまとめました。次に、脱ハンコのメリットについて5点解説します。
メリット1.生産性向上
脱ハンコを実現できれば、押印のために必要な回覧や郵送といった時間が不要になり無駄が削減できます。書類回覧のために要していた時間を業務の遂行に充てれば、生産性向上につながるでしょう。
メリット2.働き方改革(リモートワーク)
リモートワークを導入したのに、ハンコを押すために出社するのは大きな無駄です。脱ハンコが実現し書類の電子化が進めば、いつでもどこからでも申請・承認が可能です。
メリット3.内部統制・コンプライアンス強化
紙書類への押印の場合、書類の紛失やなりすましによる改ざんの危険性が生じます。脱ハンコを実現し書類を電子化すれば、なりすましも防げ、適切なセキュリティ対策も実施できるため、コンプライアンス強化につながります。
メリット4.コスト削減
これまで紙で印刷して回覧していた書類の電子化により、ペーパーレスが実現し、紙代や郵送代といったコストを削減可能です。印刷後の保管スペースも削減できるため、組織によっては大きなコスト削減が期待できます。
メリット5.企業姿勢(ペーパーレスによる環境配慮、働き方改革の推進姿勢)
SDGsの推進に伴い、働き方改革やペーパーレスについて具体的な目標が世界的に掲げられています。脱ハンコを実現すれば、働き方改革やペーパーレスへの姿勢が伝わり、社内外にSDGs推進を意識づけられるでしょう。
脱ハンコのデメリット
これだけメリットのある脱ハンコですが、デメリットがある点も抑えておきましょう。今回は3点紹介します。
デメリット1.業務フローの見直しが必要
脱ハンコを実現した場合、新たな仕組みに合わせた業務フローの設計が必要です。導入するシステムによっては、現行の業務フローを実現できない場合もあるでしょう。システムに合わせた業務フローの見直しや、マニュアル作成などの工数が必要となるため、二の足を踏む組織も少なくありません。
デメリット2.心理的な抵抗がある
長年根付いてきたハンコ文化を突然廃止するとなると、心理的に抵抗を感じる人も現れます。感情を無視して脱ハンコを強引に進めても、あとでしこりが残ってしまう場合もあります。脱ハンコによるメリットを根気よく説明し、納得してもらう努力が必要でしょう。
デメリット3.ツール導入が必要な場合、費用がかかる
脱ハンコを実現するためには、電子印鑑などのツールが必要です。必要なツールを導入するには費用が発生するため、脱ハンコによるコスト削減と比較した検討が重要です。
脱ハンコするためのツール
ここからは、脱ハンコを実現するために必要なツールを紹介します。
ツール1.電子印鑑
ハンコの印影をデータ化した画像を電子印鑑といいます。無料で使用できるタイプから、シリアル番号などの情報を含んだ印影のデータを作成するタイプまでさまざまです。電子化した書類のどこにでも印影を配置でき、押し間違いや印影のかすれも防げるため、用紙を無駄にせずに済みます。印影がコピーされると不正利用される恐れがあるため、重要な書類に適用する場合は、別の方法も併用したほうがよいでしょう。
ツール2.電子契約サービス
電子契約サービスとは、契約書の作成、電子署名の押印、相手先の確認と押印といった契約書の完成までをシステム上で行うサービスです。ただ契約書のやり取りを行うだけでなく、書類の保管や検索、回覧の進捗状況などの便利機能が付いているサービスもあります。自社の利用用途に合わせて、費用対効果を調査して複数のサービスから選ぶのがおすすめです。
ツール3.ワークフローシステム
ワークフローシステムは、従来、紙で回覧していた申請手続きをオンライン化して、起案から承認までの一連の業務が実行できるシステムです。パソコンやタブレット、スマートフォンからフォームに合わせて入力し起案して使用します。入力支援機能があるため、入力ミスによる差し戻しなども減らせて、生産性向上にもつながります。
ワークフローシステムの特徴
ワークフローシステムを導入すれば、脱ハンコのメリットをすべて実現可能です。そんなワークフローシステムの特徴は下記の通りです。
いつでもどこでも押印すべき書類を閲覧できる
インターネット回線が使用できれば、パソコンやスマートフォンからシステムにアクセスでき、いつでもどこでも押印すべき書類が閲覧できます。また、通知機能を利用すれば、自分が対応すべき書類がリアルタイムに分かるため、タイムラグの少ない承認が実現できます。
誰がいつ見たか(承認したか)を確認できる
ワークフローシステム上で処理された書類は、システム内に履歴として保管されているため、あとから調査が可能です。わざわざ保管場所にまで探しに行く手間が省け、コスト削減につながります。
書類も押印も改ざんができない
ワークフローシステムを使用する際には、IDとパスワードなどによるログインが必要で、書類を作った人や押印した人が誰なのかが記録として保持されます。したがってハンコでは可能であった、なりすましによる承認といった不正利用の防止につながります。
ペーパーレスで紙も保管費用も郵送費用も不要
ワークフローシステム上の書類は、システム内で保管されるため、紙に印刷して保管する必要はありません。また、インターネットを介して処理が行われるので、書類を郵送する費用は不要です。
脱ハンコのデメリットもカバーするならGluegent Flow
ここまで脱ハンコに有効なワークフローシステムについて紹介しました。弊社がご提供するワークフローシステム「Gluegent Flow」(グルージェントフロー)は、専門のIT知識が不要で、誰でも直感的に操作でき、従業員の利用が定着しやすいシステムです。また、以下の特長があります。
との特徴があり、脱ハンコのデメリットをカバーできます。
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脱ハンコに成功された事例
ここでは、ワークフローシステムを導入した結果、1/5の期間短縮に成功した株式会社フェリーさんふらわあ様の事例について紹介します。
株式会社フェリーさんふらわあ 様
株式会社フェリーさんふらわあ様では、ワークフロー導入前、関西と九州の各拠点間を結ぶ自社の船で、決裁書類を行き来させていました。決裁の経路が複雑になると、処理に2週間かかる場合もあり、期間の短縮化が課題でした。
ほかにも、オフィス移転にともなう書類の保管場所の問題やテレワーク対応などが理由で、決裁処理のシステム化に取り組む必要が生じます。
ワークフロー導入のポイントは、「シンプルでわかりやすい」と「ぱっと見てわかりやすい」です。いくつかの候補のなかから、コスト面、承認ルートの多様性を重視してGluegent Flowが導入されました。
すべてを一度にワークフローシステム化するのではなく、段階的に進める事で、スムーズな運用を進めています。
まとめ
本記事では、脱ハンコが進まない背景から、脱ハンコのメリット、必要なツール類などの解説を行い、成功された事例も合わせて紹介しました。SDGsの取り組みが進むなか、脱ハンコはこれからの時代、取り組まなければならない課題だと思われます。本記事を参考に、メリット・デメリットを理解し、Gluegent Flowの導入をご検討ください。