もっと知りたい- 業務改善・DX推進 -

いまの業務や社内規程を変えず、
稟議書を電子化する方法とは?

  • ペーパーレス
  • 押印
  • 稟議書
  • 電子化
いまの業務や社内規程を変えず、
 目次

稟議書とは

ある程度の規模の企業には、稟議書というものが存在します。普段何気なく使っているかもしれない、この稟議書。そもそも稟議書って何でしょう?一度、基礎知識を振り返りましょう。
稟議書とは、組織に何かを導入したり物品を購入したりする際に、権限を持つ人(多くはその組織の上長)の承認と決裁を得るための書類です。承認・決裁者にとっては、正しい情報を得て社内規程に準じて判断・意思決定を行うための重要なツールでもあります。

稟議書が必要な理由

もしも稟議書がなかったら、人材採用や社外との新規契約だけではなく、経費申請や物品購入だけでも毎回関係者が集まって会議を行い、認めるか否かを議論しなければなりません。また、内部統制の観点から考えると、意思決定における根拠や背景が不明瞭になる恐れがあります。いつ、誰が、どの決定をしたのか、社内規程に則った決定だったのか。このような証跡としても稟議書は必要なのです。

稟議書には以下のようなメリットが考えられます。

  • 決まったフォーマットの書類を回覧し、関係者がそれぞれに内容を吟味して承認する方が大幅に手間が省ける
  • 会議の場における口頭での指示とは異なり、確実に承認したという証跡を残せる
  • 起案した人は、「確認が必要な人全員のハンコがある」ことで安心して仕事を進めることができる

紙の稟議書が起こす問題

稟議書は回覧する必要があるため、承認・決裁までに時間がかかってしまうという短所があります。稟議書を紙で運用している場合は、外出やテレワークなどによる上長の不在で、承認されない稟議書が溜まっているということはよく聞く話です。稟議書に限らず、紙の書類は在宅ワーク・リモートワークとの相性もよくありません。

ほかにも以下のようなデメリットがあり、問題となっています。

  • 書類がいまどこにあるのか把握しにくく、誰のところで書類が止まっているのかわかりにくい
  • 起案者は承認されるまで仕事を進めることができず、仕事が止まっている責任が誰にあるのか見えない
  • 大阪オフィスで起案し東京本社の決裁者への稟議を回すなど、起案者と決裁者の拠点が異なる場合、物理的に紙を運ぶ必要があり決裁を得るまでに時間がかかってしまう

稟議書を電子化するメリット

先に挙げたメリットとデメリットを比べてみて、気づくことはないでしょうか。そう、デメリットは「紙の書類を使っていること」に起因しているのです。裏を返せば、紙の書類をデジタルツールに置き換えることで今使っている稟議書をそのまま活かし、デメリットだけを減らせる可能性を秘めているとも言えるのです。
実際、市場には紙の稟議書をデジタル化する電子決裁システムや電子稟議システム、ワークフローシステムなどのツールが数多く提供されています。そのメリットは、大きく3つに分けられま

稟議書を電子化する3つのメリット

  1. 書類が紙からデジタルデータになることによる稟議に関わるコスト、手間、時間の削減
  2. 稟議が電子化されることによる場所、時間、デバイスの制約からの解放
  3. 書類が紙からデジタルデータになることにより可能になる、過去資産の効率的活用

以下に詳しく解説していきます。

1. 書類が紙からデジタルデータになることによる稟議に関わるコスト、手間、時間の削減

稟議書を電子化すると、当然ですが紙の印刷が減ります。1ページ分の印刷コストなんてたかがしれていると思うかもしれませんが、全社、年間と積もっていくと無視できないコストメリットになります。また、紙に印刷しないため保管場所も不要になります。大きなラックも、ずらりと並ぶファイルも、稟議書をファイリングする時間も、すべてなくなります。そのほか郵送コストや書類を手渡しする時間、そこにかかる人件費など、紙の書類を扱うために必要だったすべてのコストを削減できます。

2. 稟議が電子化されることによる場所、時間、デバイスの制約からの解放

情報が電子化することのメリットも大きなものです。紙の書類はその場に行かなければ確認できませんが、場所を問わないクラウドワークフローであれば好きな場所からアクセスできます。スマートフォン向けの画面やネイティブアプリが提供されていることも多く、外出時の空き時間や移動時間を、稟議書の確認と承認に活用できます。起案した人も、上司が戻るまで承認を待つ必要がなくなります。

3. 書類が紙からデジタルデータになることにより可能になる、過去資産の効率的活用

さらにもうひとつ、過去の稟議書を効率よく活用できるようになるというメリットもあります。ビジネスで使う文書の多くは、過去の類似文書をベースに作られていると言われます。過去に自分が書いた稟議書を検索して再利用したり、同僚が書いた稟議書を参考にしたりすることで、稟議書を書く時間を短縮できるのです。この際、過去の稟議書をいかに素早く、簡単に見つけ出せるかがポイントになります。どんなにキレイにファイリングしても、検索性においては、紙の書類よりデジタルデータの方が圧倒的に有利なことは想像に難くないでしょう。

紛失リスクの軽減
過去資産の活用については、もうひとつポイントがあります。それは、紛失リスクの軽減です。大事に管理していたはずのファイルが紛失したり、ファイルに閉じられていない稟議書があったり、添付書類が見つからないなんてことを、みなさんは経験したことがあるのではないでしょうか。ワークフローシステムを使えば保管場所や紛失リスクを気にすることなくデータを蓄積することができます。「かつて書いたはずの書類が見つからない」という心配から、解放されます。

稟議書を電子化するにあたっての留意点

稟議書を電子化することで得られるメリットがわかったところで、具体的な製品選びの指標や留意点もお伝えしましょう。今まで紙の書類で稟議を回していた企業が、紙の稟議書をデジタル化するクラウドワークフローシステムを導入する際に大切なことは、導入のメリットを明確にして伝えつつ、「紙の方がやりやすかった」という現場の抵抗を抑えることです。
IT導入に限らず、仕事のやり方を変えるときには少なからず抵抗はあるものです。この抵抗を小さく抑え、まずワークフローシステムに慣れてもらうこと。これが最初の一歩です。みんなが慣れて利用が定着し始めたら、電子契約との連携などデジタルならではのメリットを活かせる使い方を少しずつ取り入れましょう。ステップバイステップで進めることで、抵抗を最小限に抑えられるはずです。

抵抗を抑え、利用を定着させやすくする3つのポイント

  1. これまでと同じやり方で稟議書を書けること
  2. これまでと同じ承認ルートで回覧できること
  3. 現場の要望によってはハンコ文化を残すことを検討することも効果的

上記の3ポイントを、ワークフローシステムで対応できるのか具体的な例を見てみましょう。ワークフローシステムによっては対応していないものもありますので、ご自身で選定する際にご確認ください。

1. いまの稟議書と同じように記入するだけ

紙の稟議書のフォーマットを流用できるワークフローシステムがあります。項目や見た目が同じなら、申請する人も承認する人も抵抗が少なく使えます。

Excelで作成した稟議書の見た目をそのまま電子化
approval_02.png

2. いまの稟議書と同じ承認ルートで回覧できる

稟議書の種別ごとに、社内規程に沿って関係者や承認者を承認ルートに組み入れられ、紙の稟議書と同じ順番で回覧できます。稟議書の内容によって承認ルートが変わる場合も考えられますが、条件により承認ルートを切り替える設定(金額による条件分岐)ができるため、利用者が悩むことはありません。

approval_03.png

3. いまの稟議書と同じようにハンコを押せる(印影を残せる)

押印に似た承認操作ができるワークフローシステムがあります。承認者にとって押印行為は、知らない間に根付いた商習慣かもしれません。ハンコのイメージ(印影)を活用するのは、意外と効果的なアプローチなのです。

approval_04.png

最後に1つ、奥の手をご案内します。申請書を紙そっくりに電子化しても、やはり従業員から抵抗がありそうと懸念されている場合、思い切って別の方法をお勧めします。それは、申請フォームにはこだわらず、ワークフローシステムを「回覧ツール」と割り切って利用することです。申請フォームには申請者の氏名や所属部署、件名だけを入力し、今使っている稟議書(Excelファイル)を添付ファイルとして添付して回覧する、という方法です。これまでの稟議書をそのまま用い、回覧を電子化し自動化できるため、稟議に関する時間を短縮できる効果があります。実際に、この方法で稟議書の電子化に成功されたケースもあります。(詳しく知りたい方は、ご一報ください 。資料をお送りします(無料))

稟議書の電子化を少しずつ進めるために、以下もご覧になってはいかがでしょうか。