Gluegent Flowを使い業務プロセスの標準化を推進、営業活動において業務効率20%向上を達成
不動産企業として創業以来100年以上の歴史を持つ株式会社スペース。賃貸を中心に、不動産の総合コンサルティング企業として今も成長を続けています。老舗ならではの強みはありますが、歴史の長い企業としての悩みも抱えていました。社員がそれぞれプロフェッショナルを目指す中で、業務の進め方が属人化してしまっていたのです。これを解決するため業務プロセスの標準化に着手、まずは営業活動の標準化に取り組みました。さまざまなツールを使い、多くの工夫を込めた業務プロセス標準化の重要なファクターとなったのが、ワークフロー製品Gluegent Flowです。
Microsoft 365の導入を機にクラウドサービス採用拡大に舵を切る
テクニカルエバンジェリスト 高山 久司 様:きっかけは、Microsoft 365の導入でした。全社規模でクラウドサービスを導入することで、社内でも外出先でも同じことができることの便利さを知ってしまったのです。現場の社員だけではなく、社長からも「これだけクラウドサービスが広まってきたことで、社内に残っているオンプレミスのツールは使いにくさが目立つようになった」と言われるようになりました。そのひとつが、ワークフローでした。
当時使っていたワークフローはサーバを社内に設置するオンプレミス製品で、社内ネットワークからでないと利用できないので承認のために出社する必要がありました。多忙な上司の場合は承認を何日も待つのが当たり前、社長の決裁を得るには2週間ほどかかることもありました。
定型の申請しかできず、承認ルートも一本道で自由度がありません。ある資料をオンラインで回覧したいだけの目的で、対象者全員を承認者に設定したワークフローを動かしたりしていました。
より大きな成果を目指し、業務プロセスの標準化に適したGluegent Flowを選択
高山 様:オンプレミス型のワークフローをクラウド型のワークフローに入れ替えるだけでも、おそらく便利にはなるでしょう。しかしせっかくコストをかけるのであればもっと大きな成果を得たいと考え、リーダー陣を中心として社内で相談を重ねました。そこで上がったのが、業務プロセスの標準化です。
私は社内でDX推進役を担っており、賃貸契約に電子契約を導入したり、インボイス制度対応の経理システムを導入したりと各方面からDXを進めていました。その取り組みの中で大きな課題となっていたのも、業務プロセスの標準化でした。
営業活動もバックオフィスも、業務の進め方が属人化されすぎていました。退去から新たな借主の入居までにはクリーニングやリフォームなど必ず必要なステップがありますが、営業担当者ごとに情報の管理方法や業務の進め方が違っていました。特に、ベテランほど独自のやり方を身につける傾向にありました。案件ごとの進捗状況は担当者本人にしかわからず、マネージャーによる管理にも限界があります。その状況で、ひとりで数件から十件ほどの案件を同時に進めるので、必要な作業の抜け漏れがどうしてもなくせませんでした。
こうした課題を解決するには、業務プロセスの標準化と可視化を進めなければなりません。標準的で効率のいい業務プロセスを定義できれば、新入社員の育成も効率的になります。
こうして、稟議以外の目的も踏まえてワークフロー選びにとりかかりました。選定の要件は手頃な価格で導入でき、柔軟性があり、クラウドで提供されているものです。10種類以上の製品を調べ、2〜3製品にまで絞り込んでいきました。最終候補の中からGluegent Flowを選んだのは、営業担当者が頻繁に説明と相談にきてくれたことが決め手になりました。単なるワークフローとして使うだけではなく、業務プロセスの標準化という大きな目的があるので、導入後もしっかり伴走してくれる安心感を優先しました。ワークフロー製品を使った業務プロセスの標準化という目的を理解してくれていたことも、大きなポイントになりましたね。
――ワークフローは申請書や稟議書を効率よく回覧し、上長など必要な人から承認してもらうシステムです。しかし、稟議だけではなくさまざまな業務で、業務の進め方の定義づけや、進捗に合わせて必要な情報を入力することで、業務プロセスの標準化に役立てることもできます。ただし、どの製品でも実現できる訳ではありません。申請モデルのレイアウト、承認ルートなどを柔軟に定義できる製品である必要があります。加えて、製品を提供するベンダーが業務プロセスの標準化という視点を持っていることも重要です。Gluegent Flowは以前より業務プロセスの標準化を目的とした活用方法を提唱しており、営業担当者やカスタマーサクセスの窓口からも、そのための活用方法をご提案可能です。
業務プロセスの標準化は営業活動からスタート、業務効率を20%向上、人的ミスはほぼ撲滅することに成功
高山 様:Gluegent Flowの導入後、まず取り組んだのはワークフローの移行です。オンプレミスのワークフローで扱っていた申請や決裁をすべてGluegent Flowへ移しました。次に手をつけたのが、営業活動の標準化です。
住人が退去してから次の住人が入居するまでには、やらなければならないことがたくさんあります。内装のクリーニングや傷んだ部分の修繕、それらの費用算出と敷金の精算、さらに必要であればリフォームも行います。これらをすべてリスト化して、Gluegent Flowの入力項目として設定しました。営業担当者は進捗状況に合わせて、必要な情報を入力して埋めていきます。入力項目は、あえて全項目を必須としました。それぞれの段階でやるべきことが明確化された業務チェックリストとして機能するので、業務の抜け漏れや手戻りがなくなりました。やるべきことが明確なので、新入社員もこれに従えば一定の品質で仕事ができるようになります。またマネージャーにも閲覧権限を付与することで、各案件の進捗状況をGluegent Flow上で把握できるようになりました。
業務プロセスの標準化に関して、現場からの反発はそれほど強くありませんでした。みなさん、少なからず業務の抜け漏れや手戻りで苦労した経験を持っていて、標準化がもたらす効果を実感してくれたからではないでしょうか。実際、Gluegent Flowを導入してから業務効率は約20%向上、人的ミスはほぼゼロとなり業務品質も大幅に改善されました。
デジタル化自体にもほとんど抵抗はなくなっています。不動産業界は紙の書類ばかりというイメージがあるかもしれませんが、当社ではお客様に手書きしていただく書類はありません。今はみなさんWebサイトで物件を検索して内見を申し込んでくるので、そのときに入力された情報を顧客情報として活用しています。
――営業活動に必要な業務を整理し、Gluegent Flowを使って標準的なプロセスを提示することで、業務効率、業務品質ともに向上させることに成功しました。それぞれの段階でGluegent Flowに入力することで、進捗状況を確認できるチェックリストも手に入りました。全項目が入力必須、入力すべき内容がない場合でも「不要」や「特記事項なし」と記入してもらうことで、すべての項目を意識的にチェックしてもらうよう工夫されているそうです。
データの入力、承認、プロセス管理の道具として今後もGluegent Flowを広く活用
高山 様:大きな流れのひとつのピースとして役立っていますが、業務プロセスの標準化はGluegent Flowだけで実現するのではありません。たとえば、コミュニケーションインフラとして使っているMicrosoft 365の活用を広げ、PowerAutomateを使った自動化も推進していきます。業務の進め方を標準化し、自動化することで現場の負担を小さくしていきます。定型業務の50%を自動化するという目標を立てています。
Gluegent Flowはデータの入力、承認、プロセス管理の道具として使っていくつもりです。入力されたデータは他システムと連携し、一元管理します。いま考えているのは、Gluegent Flowで入力されたデータをSalesforce.comで管理するという方法です。Salesforce.comは高機能ですが、入力項目が多すぎて誰でも気軽に使えるシステムではありません。Gluegent Flowを使えば、項目をしぼって見やすい入力画面を作ることができます。
Salesforce.comの入力画面をカスタマイズするのは容易ではありませんが、Gluegent Flowの入力画面なら簡単に作れます。現場の担当者がやり方を覚えれば、本当に必要な項目だけを取り上げた使いやすい入力画面を作ることもできるでしょう。使いやすさを優先するフロントエンドは現場で管理し、厳密性を求められるデータ管理は専門家が管理するという分業制も成り立つはずです。
こうした改革を進めることで、内部の業務に使う時間を削減し、お客様や不動産オーナー様とのコミュニケーションに時間を使える企業に成長していくのが最終的なゴールです。企業として生き残るには、人間同士のコミュニケーションにいかに力をかけられるかが重要だと思っています。そのためにインフラを整理し、事務作業負担を極小化するために、Gluegent Flowは大きな武器になるでしょう。
――Gluegent Flowはワークフローとして使いやすく作られていますが、物事を順番通りにチェックしたり処理したりするという性質から、業務プロセスを標準化するためのツールとしても使えます。スペース様はその特性を十分に理解され、稟議や申請書以外にもGluegent Flowの活用を広げています。顧客に向き合う企業として成長する同社の歩みを、今後もGluegent Flowが支えます。