決裁まで1ヶ月かかっていた紙の稟議書が最短3日に。Google スプレッドシートとの連携で複雑な予算処理の課題も解決。
日本ノボパン工業株式会社は、1956年(昭和31年)の会社設立時から住宅建材および家具・木工産業向けに、パーティクルボード(※)を生産しているトップシェアメーカーです。同社は現在、本社と同じ敷地にある堺工場と茨城県つくば市にあるつくば工場の2つの拠点で生産を行っています。廃木材や未利用の木材チップをリサイクルして作るパーティクルボードは、木材資源をリサイクルする事業であると同時に、CO2排出量の削減にも寄与している事業でもあることから、全社的に持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた木材資源の循環利用に力を注いでいます。コロナ禍以降、グループウェアの導入などデジタル化を推進していく中で、クラウドならではの連携処理が可能なツールを求めて導入したのは Gluegent Flow でした。
(※)パーティクルボード
板状に加工された木材の一種。パーティクル(particle)とは「小片」を意味し、住宅などの解体廃材の小片を主原料として、積層接着させた材料のこと。主に建築用として壁や天井などの下地材で利用されているほか、家具や木工材料としても利用されている。
システムのデジタル化に向けてワークフローを導入するも、Google Workspace との連携不足からワークフローシステムを見直すことに
管理本部 総務部 システムグループ グループマネージャー S 様: Gluegent Flow を導入する前は、全て紙の稟議書を回していました。当社の場合、稟議書を承認する役員は工場や事業所に分かれて着任していますので、役員がそれぞれ異なる場所にいるんです。なので、稟議書を回す場合、工場や事業所にその都度、稟議書と関連書類を郵送して承認をもらっていました。各担当役員に稟議書を回して承認を受け、社長の決裁をもらうだけでおよそ1ヶ月のリードタイムがかかり、郵送の手間ひまやコスト負担も重荷になっていました。
コロナ禍、DXの推進や働き方改革などで社会全体が変わりつつある中、2019年の時点ではグループウェアやワークフローを含めデジタル化したものが、ほぼ無かったんです。システムグループの立場から業務に関連するシステムをデジタル化しないといけないと、私が社内に向けて提言をしていました。
管理本部 総務部 システムグループ N 様: 議論を重ねていく中で、一般的な企業においてデジタル化をしている部分は、当社もデジタル化をしていこう、という方向性が決まり、優先順位をつけて順番にデジタル化・電子化を実施していきました。その中でワークフローの導入については、社内で求められていた要件が多くありましたので、優先順位としては後に回していました。そして2022年頃に、要件をひとつずつ整理しながらワークフローを導入しようという流れとなりました。結果、導入したワークフローツールは、実は Gluegent Flow とは異なる他の企業様のワークフローツールでした。
ところが、先に導入したワークフローツールを利用しているうちに、社内で求められる機能要件を満たせない可能性が出てきていました。また一方で、その時点ではグループウェアを導入することは決まっていたものの、どのグループウェアを導入するかまでは決っていませんでした。先行してワークフローを導入しましたが、後を追う形で導入するグループウェアを Google Workspace に決めました。その際、先行して導入したワークフローツールとGoogle Workspace と連携ができる点は、SSO(シングルサインオン)しかなく、Google ドライブとの連携もできなかったため、今さらながらワークフローツールを見直す方向へ舵を切りました。
見据えていたのは、外部のクラウドサービスと連携することで課題を解決すること
S 様: あらためて、ワークフロー製品の候補出しや仕様の確認など、IT製品の展示会にも足を運び選定を行いました。選定のポイントですが、どんなクラウドサービスでも言えると思いますが、他のクラウドサービスとシステム連携ができるかが最大のポイントでした。既に利用を開始した Google Workspace のアプリケーションと連携ができるのはもちろんのこと、単機能の利用に留まらずクラウド型電子契約システムなどと連携できる方が、今後の利活用の幅の拡がり課題解決にもつなげやすいと考えました。
こういった選定ポイントでワークフロー製品を探す中で、Gluegent Flow に出会いました。トライアル環境も用意してもらって、実行できる処理の多さや他のクラウドシステムとのデータ連携ができることも確認。ユーザーが使う画面も分かりやすく、我々システムグループで管理する設定画面もとても分かりやすかったことから、社内に展開する際のハードルも低いと感じました。
ワークフローの電子化で稟議書の決裁が1ヶ月から最短3日に。運用直後から電子化の手ごたえを実感
S 様: Gluegent Flow を社内へ展開する際、事前に全社説明会を実施しました。説明会では、いつからGluegent Flow に切り替えますという告知のほか、紙とGluegent Flow を並行して運用する期間を設けることも伝えました。急に電子ワークフローに切り替えると、拒否反応や使い方が分からないなどの問い合わせが増えることが予想されたので、移行期間を2ヶ月としました。
この移行期間の2ヶ月は、従来通り紙で申請を行いながらも、少し面倒ですが Gluegent Flow にも同じ文面で良いので申請を上げて決裁が完了するまでの流れを試してもらいました。2ヶ月間の移行期間中、現場の従業員からは「早々に電子化一本にして承認、決裁までのスピードを上げた方がいいので、2ヶ月とは言わず早めに切り替えましょう」という意見もありました。
N 様: 運用開始後の効果としては、それまで紙の稟議書を回していた時は、郵送して回付する時間を含め決裁まで1ヶ月ぐらいかかっていました。しかしながら、Gluegent Flow を導入してからは、決裁まで最短で3日くらい、長くても1週間くらいで社長決裁まで回っています。導入前に想定していた通り、リードタイムの短縮を目に見える形で実現することができました。
――Gluegent Flow の導入で、稟議書の決裁までのリードタイムを大幅に短縮できた日本ノボパン工業様。電子化による運用負担の軽減やコストの削減にも大きく寄与したようです。一方で、ワークフロー製品を選定する際の最大のポイントであった、外部システムとの連携では Google スプレッドシートと連携した自動処理を構築し、担当部門が抱えていた複雑な課題も解決できたようです。
2つの工場で異なる稟議書の処理方法をどう統一するか。解決策は Google スプレッドシートとの連携処理にあり
S 様: Gluegent Flow で決裁された稟議書のデータは、Google スプレッドシートと連携して自動処理をしています。決裁された稟議書の履歴をGoogle スプレッドシートに自動出力し、部署ごとに設けたフォルダへ保存しています。
そのほかの自動処理の活用は、工場などの設備保全を業務としている部署の稟議書で、特殊な活用を実施しています。通常、大きな予算投資が必要な事案がある時に都度、個別の稟議書を起案していますが、設備保全の部署では、次年度1年間で実施する生産設備のメンテナンスにかかる全体予算を前年度に予算計画を立てています。その予算計画に基づいて設備投資、メンテナンス工事ごとに稟議書を起案。メンテナンス工事の終了後に、掛かった費用を予算から取り崩していく処理をしています。
ところが、堺工場とつくば工場では、この設備メンテナンスにかかわる処理の形態がそもそも異なっていました。堺工場はエクセルで管理、つくば工場は堺工場とは違い内製システムで管理をしていたので、つくば工場で扱っている内製システムの機能を、別途何かしら付け加えないと2つの工場の稟議書が Gluegent Flow で管理できず、うまく回せないという相談がありました。この部分だけGluegent Flow で電子化できず紙で稟議書を回していては、デジタル化にならなので Gluegent Flow を使って運用できる方法がいか、Gluegent Flow のカスタマーサクセスに相談しました。カスタマーサクセスにサポートをいただいて、課題になっているところをひとつずつ検証しながら、設備投資に関するスプレッドシートとGluegent Flow の自動処理を連携させることで、設備投資における稟議書のワークフロー課題が解決できました。
N 様: この設備投資に関するワークフローの構築においては大変苦労しましたが、しっかりとサポートしてもらいました。求めている処理に応えていただいたGluegent Flow のカスタマーサクセスに大変満足しています。
営業や製造プロセスにて、お客様の要望にいち早く応えるためにワークフローを整備
N 様: 今後は、稟議書や設備投資の申請書のほか、我々システムグループの部署宛に出してもらう申請書のワークフローを考えています。例えば、新入社員が使うパソコン端末の調達申請書やメールアドレスの発行申請書などです。これらは現状ですと、紙で運用していて遠隔地にある各事業所はPDFにしたものをメールで送ってもらっています。
S 様: そのほか、当社の営業担当者がお客様からご要望があった新製品の開発依頼を、複数の関係部署へ回す新製品の設計開発依頼の申請書のワークフローも検討したいと考えています。電子化する前の稟議書と同様に紙での運用をしており、回付の効率が良くなく、お客様からのご要望を満たす製品の製品開発の決裁が下り、試作・量産を開始するまでの時間がかかりすぎると無駄なリードタイムを抱えてしまう状態となります。今後は社内からの要望だけではなく、お客様の要望や課題にもいち早く応えていける体制づくりを、Gluegent Flowを活用することでしっかりと支援していきたいと考えています。
――Gluegent Flow の活用メリットでもある、外部システムとの連携を見据えて Gluegent Flow を採用された日本ノボパン工業様。Gluegent Flow のカスタマーサクセスによるサポートで、予算の申請やその後の処理における稟議書の課題を見事クリアされました。今後は、各部署の帳票課題の解決に向けて、外部システムとの連携などを絡めながら、さらに業務プロセスの効率化を進めていかれることでしょう。