全国の系列施設でGluegent Flowを導入し、稟議効率化によりグループ全体で月間約100時間の無駄を削減。ペーパーレス化にも強い意欲。
国内に21のホテルを展開するホテルモントレ株式会社。共有スペースの内装や宿泊スペースの調度品にこだわり、味気ないビジネスホテルとは一線を画す雰囲気が大きな特徴です。統一されたコンセプトでまとめられた建物は美術館に入ったような印象を与えるほどで、心地よくゆったりした時間を過ごせます。宿泊客が快適に過ごせるよう安心、安全に配慮しているのはもちろんのこと、宴会や婚礼などのサービス面の充実にも心を砕いています。同社を含め6社が名を連ねるマルイトグループでは、ホテル事業以外に不動産賃貸事業、ゴルフ事業、レンタル事業などを展開しています。グループ企業全体で使っていたオンプレミス型グループウェアの保守終了をきっかけに、ワーフクロー機能をGluegent Flowへ移行。クラウド型システムでありながらカスタマイズ性、セキュリティに優れる点を活かして、既存システムが持つ課題を解決しました。
利用製品がオンプレミスからクラウドに変わり、以前同様のカスタマイズができないことが判明して移行先の選定へ
企画管理部 システム課 担当課長 藤田 成雄 様:
私がシステム課に異動してきたのは2021年4月のことです。当時、社内のコミュニケーションに使っていたのはオンプレミス型のグループウェアでした。機能はたくさんありましたが、主に使っていたのはワークフローと掲示板、それにファイル共有です。オンプレミスで手元で自由に扱えるので、ワークフローは社内の要望に合わせてかなりカスタマイズしていました。稟議に使っていたのですが、各施設にいる総務担当者がそれぞれ運用ルールを定めていたため、稟議の運用ルールは各施設でバラバラでした。
この製品の保守期間が終了するということで、ベンダーから新バージョンへの移行が案内されました。しかし案内された新バージョンはクラウドサービスであり、オンプレミス版のように細かくカスタマイズできないことがわかりました。これまで同様に柔軟な運用を行うためには、別の製品に移行せざるを得ません。そこで、それまでと同様のことが実現できて、なおかつ当時抱えていた課題を解決する製品を探すことになりました。
カスタマイズ性、1人1IDでの運用、ペーパーレス化を支える汎用性が選定基準に
藤田 様: まず、稟議の承認ルートなどがカスタマイズしやすく、以前と同様のルールで運用できることは外せない要件です。加えて、1人1IDにもこだわりました。
ホテル事業では、PCの前に座って仕事をしている時間は長くありません。PCも共用のものが多いので、以前のグループウェアでは共有IDを使っていました。退社した社員が悪用できないように定期的にパスワードを変えること、社内のIPアドレスからしかアクセスできないよう制限することで、セキュリティとしても十分でしたが、問題はパスワードに関する問い合わせが多かったことです。変更したパスワードが部署内で共有されておらず、古いパスワードを入力してログインできないと問い合わせてくるのです。システム課まで届く問い合わせだけでも毎日1件程度あり、共有IDでの運用の限界を感じていました。
また、各施設から本部に向けて送られる購買や設備改修の申請など、今でも多くの手続きが紙で行われています。今後それらのペーパーレス化を進めたいという意向もあったので、ある程度汎用性を持ったシステムが望ましいと考えました。
――移行前にグループウェアを使われていたものの、要件としては稟議に関わるものがもっとも重要だったため、グループウェアだけではなくワークフロー単体の製品も視野に入れて選定を始められたそうです。既にMicrosoft 365を利用中であり、掲示板やファイル共有の機能はSharePointに集約することも当初から考えられていたとのことでした。
Microsoft 365との連携でID管理負担がなく、セキュリティも高められるGluegent Flowを選択
藤田 様: オンラインで情報収集し、12社ほどから製品資料を取り寄せました。そこから機能要件をもとにグループウェア2製品、ワークフロー2製品に絞り込み、詳しい比較を行いました。
機能の多さでは当然グループウェア製品が優位ですが、それに応じた価格設定になっています。高額でもそれに見合うほどに使いこなせればいいのですが、先にお話しした通り、PCの前で完結するような仕事ではありません。結局以前のように一部の機能だけしか使われないのであれば、コスト負担の大きさが気になってしまいます。1人1IDでの運用を考えているので、単価の差は大きく響きます。
一方でワークフロー製品の方は、機能がある程度絞り込まれていて使いやすいのが大きなメリットです。必要な機能だけを低価格で導入できるのもありがたいポイントです。掲示板とファイル共有の機能はMicrosoft 365のSharePointを使って代用すれば、追加の投資なく解決できます。こうして、グループウェアではなくワークフロー製品へと方向性が定まりました。
ワークフロー製品の中でもGluegent Flowを選んだ最大の理由は、Microsoft 365との連携機能が用意されていたからです。これにより、2つのことが可能になります。
ひとつは、ID管理の負担をなくせること。異動の多いホテル業界で1人1IDで運用することを考えると、システムごとにID管理をするのは大きな負担です。Gluegent Flowなら、既存のMicrosoft 365のユーザー管理さえしておけばいいので負担は増えません。
もうひとつは、セキュリティの確保です。以前はオンプレミス製品を使っていたので容易に社外からのアクセスを遮断できましたが、クラウド製品はインターネットさえあればどこからでもアクセスできてしまいます。そこでMicrosoft 365と連携させることで、アクセス元をコントロールすることにしたのです。Microsoft 365にはアクセス元IPアドレス制限機能があります。社外からGluegent FlowにアクセスしようとしてもMicrosoft 365の認証を通過できず、アクセスできません。SSO(シングルサインオン)を設定することで、セキュリティの条件もMicrosoft 365と連動させられるという訳です。
検討していたワークフロー製品の中で、Gluegent Flowが優れていた点がもうひとつあります。それは、汎用性の高さです。競合製品が稟議に特化していたことに対して、Gluegent Flowは申請、承認の形式を色々な手続きに応用できる可能性を感じました。Outlookで通知を受け取ったらそのまま同じ画面内で申請内容の確認と承認ができる操作性の良さや、カスタマイズ性の高さも、そう感じた理由のひとつでしょう。
――Microsoft 365との連携のメリットとしてID管理の負担軽減を挙げるお客様が多い中、藤田様はSSO機能がもたらすセキュリティにも目を向けてくださいました。Microsoft 365のAzure Active Directoryは多くのセキュリティ機能を提供しています。SSO機能を使うことで、Gluegent Flowにも同等のセキュリティが自動的に適用されます。セキュリティの脆弱なポイントを作ることのない、クラウド製品の上手な組み合わせ方と言えるでしょう。
各施設で対応していた異動時のIDメンテナンス業務をシステム課に集約、グループ全体で毎月100時間の業務を削減
藤田 様: 導入決定から実際の導入までに大きな課題はなく、特にID管理については、既存のMicrosoft 365のユーザー情報と連携させるだけなので、非常に簡単でした。以前のグループウェアでカスタマイズに頼っていた部分も、Gluegent Flowのカスタマイズ機能で対応できました。
本格的に利用し始めたのは2023年1月半ば、マルイトグループ全体で1100IDを展開しました。役員会の了解を得ていたこと、移行理由が既存システムの保守終了だったことから、現場での反発もなく移行できました。今ではすべての新規稟議が、Gluegent Flowで起票されています。導入からちょうど2ヵ月が経過したところですが、その間に起票された稟議は4千件を超えました。
導入の効果はすでに現れています。各施設の総務担当者は、以前は異動があるたびにグループウェアへのアクセス権限の付け替え作業をしなければなりませんでした。毎月1日は、この作業に2〜3時間を費やしていたはずです。しかし今では、私がMicrosoft 365のユーザー情報を編集するだけで終わります。また、各総務やシステム課を悩ませていた1日1件のパスワードの問い合わせも、ほとんどなくなりました。
――グループ企業内での異動が多く、各施設の総務部が毎月対応していたというアクセス権限の付け替え業務。1ヵ月に1度のこととは言え、施設の数が多いだけに累積時間を考えると毎月100時間ほどにものぼります。ユーザー管理基盤をMicrosoft 365に統合し、グループ全体で目に見える効率化をすでに実現されました。
汎用性が高くサポート体制も整ったGluegent Flowだから、積年の課題であるペーパーレス化の推進にも期待
藤田 様: 稟議にGluegent Flowを使うことは広まったので、今後は、課題となっているペーパーレス化を進めていきたいですね。購買申請や事故報告書、夜間作業時の宿泊申請に交通費変更申請など、人事総務系を中心に紙を使ったやりとりが社内にはまだたくさん残っています。
また部署間の請書や完了報告書も、Gluegent Flowを使ってデジタル化したいですね。部署間をGluegent Flowで結び、オーダリングシステムなど他のシステムの連携を下支えできるのではないかと期待しています。Microsoft 365とのSSOでセキュリティが担保されているため、業務用のタブレットからも安全に使えるので利用場所の自由度も高いはずです。
導入時の経験から十分なサポート体制があることもわかっているので、利用拡大に当たって不安はありません。クラウドなので対応できることとできないことがあるのは当然ですが、できるかできないか、できるとしたらどのような対応が期待できるのか、その返信が早いところも心強いです。今後もこのスピード感と対応力に期待しています。
――サービス業の現場ではいまだに多くの紙が使われています。タブレット端末とオーダリングシステムの導入など、これまでにもペーパーレス化に取り組んできたホテルモントレ様は、新たにGluegent Flowというツールを手にしてペーパーレス化を加速させようとしています。Gluegent Flowの自由度の高さを活かして、業務効率化だけではなく省資源化など、ホテル事業で注目されるサステナビリティの向上をも実現してくれることでしょう。