導入事例

IDEC株式会社

IDEC株式会社 様

オンプレミス製品からのリプレイスで運用負荷の軽減と20~30%のコスト削減を達成し、経理処理でも1/7の工数削減を実現

IDEC株式会社は、FA分野を中心とした制御機器の総合メーカーです。創業以来、制御技術や安全技術を核とする、人と機械を繋ぐ HMI(Human-Machine Interface) のリーディングカンパニーとして、主力のスイッチや安全・安心を実現する各種制御機器、ソリューションを提供することで、人と機械の最適環境を創造し、世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現することを目指されています。 国内外に生産・販売拠点をもち、中国をはじめとするアジア・パシフィックや US、フランスなど欧州でも業務展開されているグローバル企業です。
全社的なクラウド化推進の動きもあり、クラウド型ワークフローシステムを導入。各部署主管での運用体制を確立しただけではなく、外部システムとの多様な連携により、申請業務を超えて業務プロセスの管理ツールとして活用し、さまざまな業務の効率化を実現されました。

オンプレミスのワークフローシステムの保守切れをきっかけに、全社的なIT推進の動きが加速

経営戦略企画部 リーダー 左海 祥子 様:
もともとはオンプレミス版のワークフローシステム X-point を利用していましたが、大きな課題として次の2点がありました。一つめの課題は、システムの開発難易度が高いこと。各部署からの新規開発や修正依頼は、ITセンター(社内のシステム・PC/サーバー・アプリケーションの運用をサポートする部門)主導で一手に運用しており、対応までに時間がかかっていました。そして二つめの課題は、ちょうどそのシステムの保守切れのタイミングがくることでした。

Japan IT Center 業務システム企画チーム リーダー 佐藤 潤 様:
それとは別に、運用面の課題も出てきていました。ITセンターの稼働が逼迫し、各部署からの依頼対応が遅れがちになったところ・・・各部署がExcelで申請書を作ってしまい、メールに添付して回覧したりあるいは紙で印刷して回覧したりと、各部署ごとでバラバラに申請書類を作り運用するという、非常にまずい状態になっていました。

左海 様: システム面と運用面の課題から、各部署が自分たちで申請書を作れるようなライトなワークフローがないかと、今回の導入検討が始まりました。IDEC 全体としては IT リテラシーが高いわけではないのですが、以前から Salesforce を活用している、というレベルのIT地盤はありました。

佐藤 様: さらに今年(2022年)の年始の社長挨拶で、全社的にIT面をボトムアップしていこう、との話もあり、経営戦略方針として社内のITリテラシーを高めていく、という点も一端にあったと思います。

左海 様: 弊社は製造業ですが、物を作るだけではなく、今後は経営戦略として IoT などIT技術を取り入れていくべきと、社長や経営陣を中心に強い意識を持っています。ちょうど時流の課題として、いわゆるDXに対応するというところも大きいですね。

ユーザーフレンドリーで Microsoft 365との親和性も高い Gluegent Flow を導入

左海 様: 今回の導入検討は、SaaS 製品を前提としていました。SaaS 型であればハードウェアは不要で設定すれば使えるだけでなく、セキュリティ面についてもサービスベンダー側が保証する範囲もあり、ある程度のセキュリティ対策も期待できます。

さらに必須要件として、Microsoft 365と親和性が高いもの、シングルサインオンできること、などの観点からピックアップしました。よくある比較サイトや人からの紹介で候補を出し、機能や費用面から最終的に3サービスに絞り、まずはトライアルを開始しました。

佐藤 様: トライアルの段階で、設定が難しくてつまずいたものもありましたよね。確かに機能は充実しているけれど、こんなに複雑な設定をしないとこれが実現できないのか、というようなものも。各部署で使ってもらうというビジョンに対して、難しい設定が必要な製品は、選定基準を満たしませんでした。

左海 様: 評価の方法として、簡単なプロジェクトを立ち上げ、ITメンバーだけでなく開発などの経験がない業務メンバーにも実際に触ってもらいました。簡単なモデル(申請)を作成し、入力画面の作成やフロー(経路)の作成で簡単に作れるか否か。また、利用者側の画面や管理機能などの機能面、価格面などのいくつかの項目を点数化し評価しました。経営層にその結果を報告して、最終的に Gluegent Flow の導入を決めました。

特に、画面作成(作り易さ、機能)が高得点で、Gluegent Flow はなんとなく上から順番に設定していけば出来上がって、モデル(申請)を作る流れが非常にわかりやすかったです。ユーザーフレンドリーな使いやすい UI が揃っているという点が、大きなポイントだったと思います。

社内への展開は最初のハンズオンのみ。
中央コントロールとITの民主化を両立した運用で拡大

佐藤 様: 最初は10ID程度を導入しトライアル。その後、各部署から50名ほど集まってもらい、今後各部署主管で対応してもらうためのキックオフや打ち合わせを行いました。まずは各部署の既存の申請、例えば旧ワークフローの申請や、メールなどで回覧している申請をリスト化。そのリストを基に、部署ごとに作成を割り振ったところから、いざスタートという感じですね。

左海 様: 最初のミーティングの際に、簡単にハンズオンをやりました。それぞれにIDを渡して、簡易的な流れだけ一度みんなでお試しで作ってみましょう、とワークフローを実際に作ってもらったんです。そこからもう「あとは各部署でどうぞ」と(笑)。ただし、すべてを完全に現場に移管ということではなく、権限付与時には事前の理解を求めたり、新規モデル作成時にはITセンターに届け出のうえで作成可否を判断するなど、全体の管理はITセンターで行い、実際の作業は各部署で対応するという運用フローを確立しています。

佐藤 様: 各部署で対応できるよう、こちらで準備したのは、簡単なガイドラインです。開発者マニュアルのような簡易的な仕様書の形で作成し、社内公開しています。

左海 様: Gluegent のサポートサイト(クラウドコンシェルジュ)上に詳細なマニュアルが公開されているので、詳しくはこちらを見てください、というようにしています。基本的には自分たちでやる分は各自で調べて、それでもわからなかったら聞いてください、承認ボタンの表示/非表示制御などの JavaScript 記述や外部API連携設定などの難しい内容はITセンターに依頼するように、という区分けを決めて展開しました。

佐藤 様: 社内の通達文書や既定の文書だと、経路数でいうと10とか20とかあるようなステップ数の多いものも結構ありますね。興味を持って使いこなそうとする社員は、マスターデータをここから引っ張ってきたい、リストボックスや親子リストなど入力項目を駆使したい、など、そういった相談が来たりします。現在ではかなりの人数の社員が、プレースホルダー記述を使いこなせるようになっています。

左海 様: 開発部門や品質保証部門などの部署は、自分たちで研究し、複雑なワークフローを作ったりしていますね。

佐藤 様: 新しい開発者を投入してくれる部署もあります。今までは部署のリーダーや開発メンバーしか触っていなかったけれど、最近入ってきた若いメンバーに開発者の権限を割り振ることも適宜あります。

社内展開のポイント


運用と開発の両面で展開

・半年間で30超のモデル(申請)を作成して利用中
・社内通達、IT、営業、経理、開発部署などのモデル(申請)がある

開発マニュアルを作成して開発者を育成

・Gluegent Flow の機能をフル活用する猛者が各部署で成長!
・HTMLフォームの作成も各部署で対応できるように!

Gluegent Flow のポイント


・使い方がシンプルで問い合わせはほぼ無し
・経路が柔軟に設定できる
・標準フォームで開発すれば即利用可能(HTMLフォームの作成も容易)
・入力チェック機能を利用すれば「不可能そうな」設定も可能
・外部API連携が強力(Azure・PowerAutomate など)

Gluegent Flow の導入により処理工数が七分の一まで短縮化!

導入前

  • 申請関連書類が整理されていない
    (各部署でExcelで申請書を作ってしまうため、保管場所も各部署ごとになっている)
  • 申請方法が統一されていない
    (メールで回したり、印刷して紙で回したり、運用がバラバラになっている)
  • 進捗状況が把握できない
    (メールや紙で回っていると、その途中で止まっていても誰が止めているのかわからない)

導入後

  • ワークフローの電子化により申請業務(申請書・申請方法)が統一化
  • 経路の自動設定により依頼先ミスが減少
  • 外部連携の活用により申請の「見える化」も実現
    • 進捗状況の把握が容易になり、承認の停滞率が減少し申請業務がスピードアップ
  • 開発委託・運用・保守面の削減、業務効率化
    • 20~30%以上のコスト改善見込み

佐藤 様: 最近、経理部で経費申請のワークフローを一つリリースしたのですが、それは非常に効果が高いと聞いています。弊社は子会社がいくつかありますが、その子会社からあがってくる請求処理を経理部が取りまとめています。Excelファイルでリスト化されて回ってくるのですが、そのリストの中には複数の子会社の請求データがバラバラに入っているんですよね。それを会社ごとに取りまとめてそれぞれの会社に確認を取り、問題がなければさらにそれを請求書ベースに載せ替える、ということをやっていました。請求のメールが来ていなかったり逆に二回来ていたり、また、リストを整理する際にデータを重複して貼りつけてしまっていた、などのミスもあり、子会社の請求処理が大きな負担になっていたんです。

今回 Gluegent Flow を導入したことで、請求のメールが来ている来ていないという問題も解決できますし、Gluegent Flow での申請内容を見て特定できるので、二度手間や重複ミスなども無くなりそうです。今回の対象は子会社だけでしたが、その他の請求処理についても次々対応しよう、と盛り上がっています。

左海 様: Gluegent Flow で申請業務を整地化できたということを起点に、Excel マクロや PowerQuery を使ったり、API連携させてExcelを自動で作成する自動処理などをプラスアルファにして、全体的な請求処理の業務効率化につながったと考えられます。

佐藤 様: 具体的な数字でいえば、実質7営業日かかっていた処理が、おそらく1日もかからないくらいで終わる、ぐらいの工数削減効果がありました。

外部システム(API)と連携しながら、申請・承認業務を超えてワークフローをさまざまな業務で活用

現状の外部システムとの連携による活用(一例)

  • Azure AD とのアカウント情報連携(経路担当者の所属部署や社員番号など)
  • Azure × オンプレミスゲートウェイの利用で社内DBとの情報連携(伝票IDをキーに社内DBから情報を参照し、フォーム入力の手間を削減するなど)
  • 電子署名「クラウドサイン」連携(運用予定)
  • Gluegent Flowに入力した情報をSharePointリストに連携して、関係部署が閲覧しやすいようにリスト化。添付ファイルもSharePointドキュメントに格納して参照可能に
idec3.png
例)グループ会社間での請求処理に活用
  • Gluegent Flow に入力された情報を外部連携API機能を利用して、Azure・SharePointリストに連携
    • 進捗状況共有用のSharePointリストにGluegent Flow の入力情報を連携することで、申請状況の一覧化・可視化を実現

  • Gluegent Flow に添付されたファイルを自動連携機能(メール送信)を利用して、Azure・SharePointドキュメントに連携
    • 経理承認後に添付ファイルをAzureに連携してSharePointリストに保存することで、請求書ファイルのデータベース化を実現

佐藤 様: 現状では、上記のような外部システムとの連携で活用していますが、今後もさらにさまざまなシステムとの連携を進めていきたいと考えています。ちょうど今、社員の入社処理を Gluegent Flow を使って業務効率化する仕込みを進めているところです。新しい社員が入社した場合、IDやPCの申請など入社に伴う処理が発生しますが、もともと利用していたワークフローシステムでは、入力項目が多岐にわたり複雑で進捗状況が見えづらいという課題がありました。

Gluegent Flow での申請と、API連携などの処理を組み合わせることで、現状の要件を満たすかつ、それ以上の効率化が内製で実現できる見込みです。電子契約連携を標準機能に追加したように、今後もぜひ、Gluegent Flow が外部システムとの連携を増やしたり、Microsoft 365 と連携強化し自動処理を追加してくれると嬉しいですね。

――今回のIDEC社のケースでは、きっかけは利用中のオンプレ製品の保守切れでしたが、世の中のDX推進の時流が、全社的なITリテラシーのボトムアップというIT推進の流れにあいまって、Gluegent Flow の導入にいたりました。導入により、全社的な申請業務の統一化と、フレキシブルな運用体制が確立できています。

Gluegent Flow は標準の機能でも十分に活用いただけるワークフローシステムですが、IDEC社では外部システムとの多彩な連携によりさまざまな業務で利活用いただき、業務効率化を実現されました。

導入製品

  • Gluegent Flow