本格的BPMシステムからの移行で Gluegent Flow を導入。単純な申請・承認ツールを超える機能で、高機能なBPMシステムと変わらない運用を実現し、同時にコストカットにも成功。
株式会社シャノンは、マーケティング業務を自動化するMA(マーケティングオートメーション)をクラウドサービスで提供しています。MAという言葉が日本国内で一般的になってきた2010年頃以前からサービスを展開しており、国産MAツールとして必ず名前があがる、リーディングカンパニーです。早くからテレワーク環境が整備されていたことから、クラウドサービスの積極的な利用がもともとあり、今後のビジネス拡張をみすえて利用中のサービスの見直しを実施。高機能BPMシステムから Gluegent Flow へリプレイスし、リプレイス前の運用を大きく変えることなく、コストカットを実現されました。
早くから確立していた業務プロセスの電子化の文化
IT&Security 部 石井綾子 様:
私は、社内のITとセキュリティの管理・運用をしている IT&Security 部に所属しています。私は主にISMSの教育、内部監査、ISO27001やPマークの認証更新などを担当しております。社内システムの全般的な管理をIT&Security 部で行なっており、その一環で今回の Gluegent Flow の導入に携わりました。
弊社は早くからテレワークが定着しており、働き方改革という意味ではすでに実施できている状況にありました。そのため、Gluegent Flow 導入以前からクラウドサービスは定常的に利用しており、業務プロセスの管理というところでは国産のBPMシステムを利用していました。
BPMとは
BPMとは「Business Process Management」の略で、業務を管理するための手法の一つ。業務の流れ(ビジネスプロセス)をモデル化して可視化し、そこから課題を抽出してPDCAサイクルを回しながら、継続的に業務改善を進めます。BPMS(ビジネスプロセスマネジメントシステム)と呼ばれる専用のサービスやツールを利用して実施されることが多く、最近ではクラウド型のシステムも増えています。
ビジネスプロセス(業務プロセス)とワークフローは似ていますが、異なるものです。ワークフローに似たものに業務フローがありますが、これらは業務の一連の流れで必要な手続きや工程を管理するために、わかりやすく図式化したものを指します。これに対して、ビジネスプロセスはワークフローや業務フローを包括したもっと大きな単位で、複数のワークフローをまとめたものです。たとえば受注処理でいうと、見積もり作成→見積もり提出→注文書受領→内容確認→注文請書作成というのが受注処理のワークフローで、この流れの中で申請や承認処理を行います。さらに、これを受けて受注した内容を処理する別のワークフローが発生したりしますが、これらの複数のワークフローをまとめた一連の受注業務が業務プロセスです。
日本におけるワークフローシステムといえば、特に申請・承認に特化したツールの認識で使われています。紙ベースでの申請や承認を電子化し、これらの流れの中でのやりとりをシステム化したもので、BPMシステムほどの大規模な機能を持ちません。これに対して海外におけるワークフローシステムといえば、業務担当者がビジネスプロセスを実行するために必要な情報と作業を行うためのツールだと考えられており、ワークフロー(申請・承認)機能も内包し、業務プロセス全体を管理するための処理をシステム化したものです。
日本独自のワークフローシステムは「申請・承認・決裁処理の効率化」を実現し、BPMシステムは「業務プロセス全体の標準化と最適化」を実現します。BPMシステムは、業務プロセス全体の管理と、さらに業務担当者が行う各プロセスに対するモニタリングや分析などを行うことを目的としているため、ワークフローシステム以上のさまざまな機能を有し、それゆえコストもワークフローシステムと比較すると高額になりがちです。機能面やコスト面などでそれぞれの特徴があるので、目的や要件によって使い分けが必要です。
機能とコストのバランスが抜群の Gluegent Flow を導入
石井様: 既存で利用していたBPMシステムは高機能だったため、機能的な面での不満はなかったのですが、今回 Gluegent Flow を導入するにいたった課題は次のようなものでした。
- 年々増加するライセンス数
- 利用中のBPMシステムのライセンス費用の値上げ
今後のビジネス拡張も考慮した結果、コスト削減の必要性からコスト的に見合ったシステムにリプレイスしようということになり、検討をはじめました。
まず価格が見合うこと、そして専門的な知識がない人でも扱えること、というのが2大要件でした。さらにもう少し具体的にいうと、今までできていたことがシステムを変えてもそのまま継続できるもの、ということもありました。使う側が業務プロセスを変えなくても、そのまま載せ替えた、という感覚で使い続けられることが大事ですよね。別のBPMシステムを使えば、同等の機能で変わらず業務を継続できますが、結局そういうものはやはりコストが高く、選択肢としては難しいものでした。
検討にはまるまる1、2ヶ月をかけてじっくりと取り組み、さまざまなBPM・ワークフローシステムを検証しました。リプレイスというところで、以前のものからどれだけ簡単に移行できるか、というのが要件としてはっきりあったので、その条件に合うものを全部確認していく必要があり、時間がかかったというのがあります。申請・承認だけができるようなライトなツールも検証しましたが、UI(ユーザーインターフェース)が弱かったり、数ステップ前に差し戻しできないなど機能が不足していたりしました。Gluegent Flow は価格的には圧倒的で、また、タスク管理にも必要な Google のスプレッドシート連携ができるなど、機能的な面でも要件を満たしていたことなども決め手となり、導入にいたりました。
実際の導入は、大きなトラブルなくスムーズにいきました。ワークフローの移行自体は、まずもともとのワークフローの通りに移行して、移行が難しいものについては担当者と相談をしながら作り上げていきました。
社内展開というところでは、実は導入研修などはしていません。ログイン方法と簡単なボタンなどの説明、さらに Gluegent のマニュアルのリンクを記載したパワーポイントの1枚資料を作成しまして、それを添付したうえで運用開始日を告知しただけなのですが、特に問題もなく運用を開始できました。ただ、これは移行時にユーザーが迷わないことに十分に留意し、ある程度想定したうえでワークフローを作成したことによるところが大きいと思います。具体的には、この場合にはこうする、といったケースごとの説明を各項目に細かく説明を入れるようにしたので、画面自体がマニュアルのようなもので、画面を見れば分かるようになっています。また、カスタマイズしやすい Gluegent Flow の機能を最大限に活かし、以前のものを比較的踏襲した画面に作成したことで、ユーザー側も受け入れやすかったのだと思います。
――全社的にテレワークが定常化していたことから、業務の生産性を下げること無く現状を継続できるツールであることが要件としてありました。申請と承認だけの単純なワークフローシステムではなかったこと、コスト的にも要件をクリアできたことから、Gluegent Flow が選ばれました。
BPMシステムに近い形で利用可能な Gluegent Flow
石井様:今は各種申請から業務まで、さまざまなシーンで Gluegent Flowを利用しています。
カテゴリー | 主なワークフロー |
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人事・労務系 | 人事労務関連の各種申請、休暇届など |
法務・総務系 | 文書保存の申請、ロゴの使用許可など |
経理系 | 経費精算、仮払申請、与信の申請など |
業務系 | お客様管理、商品に関連する発注や設定、解約申請など |
ISMS 事務局 | アクセス申請、個人情報管理の申請、ISMS体制審査など |
経路も、10ステップ以上もあるような長いフローになっていたりします。管理やメンテナンスは、基本的には私がすべてやっていますが、総務や経理系などの一部では、経路の処理担当者や項目の名前、説明書きのところは担当者にメンテナンスしてもらっています。すぐ反映できますし、表示確認などのやりとりが不要になるので、各部門にも担当者を置いておくとよいと思います。
Gluegent Flow でよく使う機能としては、ボタンの表示の切り替え機能や項目の表示切り替え機能、あとはボタンを押したときの自動処理としてメールを送信する機能などがあります。ボタンの表示切り替え機能は、チェック項目によって実行可能な処理(ボタン)の有効・無効を切り替える事によって、次の経路の進む先を申請者自身も理解できるようにしました。また、項目の表示切り替え機能は、チェックした項目によって記入項目の制御をしており、どちらの機能も処理内容の記載ミスの減少につながっています。
――今まで利用していた高機能のBPMシステムで運用していた機能がない場合は、Gluegent Flow の機能で置き換えて実現。申請・承認ツールを超えたさまざまな機能をもつ Gluegent Flow で、BPMシステムからの移行と実運用を可能にしました。
目指す先は単純なワークフローシステムを超えた活用
石井様:Gluegent Flow を導入した結果として、コストカットというところでいうと、リプレイス前との比較で三分の一分程度におさえることができました。使われている申請数もほぼ変わらずすべて載せ替えられたので、うまく移行できたかなという思いがあります。コストカットは大きな効果なので、とても優秀です。あとは、リプレイス前後でユーザーの作業時間が増えることなく、以前と変わらない状態で何も問題なく継続して使えている、というところもポイントだと思います。
今後目指しているのは、全ての申請の入り口を全部ここにまとめたいというのが目標です。Gluegent Flow で稟議をあげたら、その後の処理、たとえば契約書の締結だったり、システム部への依頼だったりというところを自動処理にしたい。そうすると、申請する人はGluegent Flow だけを見てその後の処理の対応ができる、という状態にできれば、もっと使いやすくなると思っています。いろんなものを繋いで管理を楽にする、つまり業務の効率化というところにつなげていきたいですね。
――シャノン社では、高機能のBPMシステムからワークフローシステムへの移行という機能ダウンは避けられない状況のなかで、コストカットも実現しながら、Gluegent Flow のもつさまざまな機能を充分に活用して、リプレイス以前の運用を大きく変えることなく移行に成功されました。今後はさらに、Gluegent Flow を活用したビジネス全体の効率化を目指しています。