会議と勤務時間の使い方
こんにちは、サイオステクノロジーGluegentサービスラインのジャレド・ウォレスです。今日のトピックは少しセンシティブな部分もあるかもしれませんが、「会議と勤務時間の使い方」について話していきたいと思います。勤務時間の使い方というのは、メールの確認頻度や休憩のとり方、無駄な会議の多さなどの話ではなく、勤務時間の「刻み方」、仕事の一日がどんな単位でどうスケジューリングされていることが今日の話のポイントになると思います。
背景
最初から個人的な感想を話の根拠にするのがあまりよろしくないかもしれませんが、日本国内の会社員には「会議が多すぎる」と「作業はしているが仕事はしていない」という気持ちが決して珍しくないと思います。しかし、この気持ちの根源は何でしょうか?そこにひとつの可能性としては本記事の中心となるポール・グレアム氏の「メーカー(物作り)のスケジュール、マネージャ(管理者)のスケジュール」(英:Maker's Schedule, Manager's Schedule)という「勤務時間の使い方」の考え方、そして会議との関係について話していきたいと思います。2009年の英文の原文を読みたい方はこちらでアクセスできます。
メーカーのスケジュール、マネージャのスケジュール
マネージャのスケジュールとは、現代ほとんどの会社員がよくご存じであろうスケジューリングのしかたになります。時間は大体1時間単位で刻まれ、その1時間ごとに何をやっているかが変わります。このようにGoogle カレンダーなどもデフォルトで1時間単位で予定が作成されます。当然のこと、その予定を2時間以上にすることもできますし、1時間より細かく刻むこともできます。実際ビジネス面に成功している方の中には、会議や電話の予定を5分単位などで凄く細かくスケジューリングする方が沢山います。 一方、メーカーのスケジュールは1時間ではなく、半日(4~6時間)など比較的長い単位に分けられています。なぜかというと、プログラマーや作者などのメーカーたちはそのくらい時間がないと大したもの(成果物)が出来上がらないからです。コーディングだろうが文章だろうが、1時間ではゾーン状態に入れず、集中力が高まる前に次の予定に進んでしまいます。例えば、メーカーの一日の最初の4時間が以下のようになっているとします。
- 8:00~9:00 作業
- 9:00~10:00 会議
- 10:00~12:00 作業
上記の通りだと、9:00の会議によって残りの3時間の作業が1時間と2時間の二つの離れた時間帯に分かれてしまい、集中力が高められずに合計3時間にほとんど何もできていないことは珍しくありません。しかし何もしていないわけでもないので、「作業しているけど仕事はできていない」という気持ちの根源のひとつと言えるかもしれません。
会議に関わる文化
じゃあ、どっちの方がいい?ということではありません。各自の仕事内容によって使い分けることが必要です。マネージャは柔軟性、問題解決のスピード、決断力などといった形で価値を生み出すのと同じようにメーカーが集中力を高めて物を作ることで価値を生み出します。その意味では、この二つのスケジュールは各仕事の内容に特化したものになります。しかし、この二つを合わせた時だけに問題が起きます。マネージャが綺麗に分けた半日で同じタスクをずっとやっていたら管理が回らないでしょうし、メーカーの作業時間が1時間単位に刻まれたら会議と物作りの切り替えだけに一日が終わることになってしまうでしょう。
またダメ出しで申し訳ございませんが、そういった意味では力を持っているマネージャの方々がメーカーのスケジュールと作業効率をあまり考えないで会議に巻き込んだりすることがかなり多いのではないかと思います。マネージャたちが普段行っている会議が重要ではないとか、メーカーは会議に参加すべきでないなどのような大袈裟なことを申し上げるつもりはないですが、力を持っているマネージャの方々にはメーカーを会議に入れた際にそれはどのくらいメーカー本人にとって負荷になっているかをもう少し配慮する責任があるのではないか、ということを伝えたいです。本当にこの会議に参加する必要があるのか、1回1回大切に考えるべきであることを把握してほしいです。
私も個人的に会議がある日とない日の作業効率の違いを強く感じます。月曜日に定例会議がなく、火曜日の一番最初に一つだけあります。この2日間で作業が圧倒的に作業効率が高く成果物も出来上がることが多いです。一方木曜日と金曜日は会議が多く作業時間が長くても2時間しかなく、一生懸命集中しようとしてもほとんど進めることができず、会議の準備と参加だけが成果物になってしまうことが多いです。メーカーの皆さんも、こんなことはよくあるのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか。私はこの「メーカー(物作り)のスケジュール、マネージャ(管理者)のスケジュール」を読むまであまり考えたことがありませんでしたが、仕事の内容によって勤務時間の扱い方が変わることは、言われてみれば当たり前ですね。ある部分では少し辛口だったかもしれませんが、皆さんが勤務時間をどう使っているか、そしてどう改善できるかを少しでも考えるきっかけになれたのであれば幸いです。
Jared Wallace